総務省は2004年度より周波数再編アクションプランを策定しており、毎年度改正・公表しています。
以前より意見を募集していた2021年度の周波数再編アクションプランが公表され、具体的な周波数が判明したので、5Gとして利用することを検討している周波数をまとめていきたいと思います。
2.3GHz帯(n40)
この中で唯一2021年度内に割当が予定されている周波数です。
具体的な周波数は2330MHz~2370MHzで、既存の免許人である放送事業者とダイナミック周波数共用を行う予定とされています。
帯域幅は40MHzとそこまで広いものではないものの、ソフトバンクの転用5Gである3.4GHz帯がちょうど同じ帯域幅です。
この周波数は条件が良ければ下り500Mbps程の速度が出るので、2.3GHz帯も同様に十分な速度向上が見込めるでしょう。
NRバンドはn40になる見込みで、執筆時点ではインドネシアやシンガポール、オーストラリアで商用化されているバンドです。
2.6GHz帯(n41)
衛星体移動通信サービスとの共用の可能性が検討されている周波数です。
具体的な周波数は2645MHz~2665MHzで、ダイナミック周波数共用での運用を検討されています。
検討されている周波数の帯域幅は20MHzで、今回例に挙げられる中で最も帯域幅が狭くなっています。大幅な速度向上は見込めません。
UQコミュニケーションズが運用している周波数と隣接しており、NRバンドもn41で同じとなる見込みです。
なおこのNRバンドは、中国やタイ、アメリカなどで商用化されています。
4.9GHz帯(n79)
既存の無線システムとの共用が検討されている周波数です。
具体的な周波数は4900MHz~5000MHzで、既存の免許人と共用を行うか、無線システムの再編や移行を検討しているようです。
検討されている帯域幅は100MHzで今回話題に挙がっているSub6周波数としては最も広く、大幅な速度向上と容量の確保が可能です。
NRバンドもn79となる見込みで、ローカル5GやNTTドコモが既に採用しているバンドと同じです。
一方でこの周波数は他の周波数と比べて一回り高いため、端末の製造コストが高くつきがちなようです。n79に対応しているオープン市場向けのスマートフォンはあまり多くありません。
現在積極的にこのバンドを展開している国・地域には日本以外に香港が挙げられます。
26GHz帯(n258)
既存のFWA(加入者系無線アクセスシステム)等との共用が検討されているミリ波の周波数です。
具体的には25.25GHz~27GHzで、現在5Gミリ波として割り当てられている28GHz帯(27GHz~29.5GHz)に隣接しています。
帯域幅は1.75GHzと広く、超高速通信を前提として余裕を持った幅を検討しているようですが、どのような内訳で割当されるかは不明です。
NRバンドはn258となる見込みで、現在このバンドはオーストラリアが商用化しており、その他多数の国および地域で採用される予定となっています。
40GHz帯(n259/n260)
この周波数帯も26GHz帯同様、ダイナミック周波数共用の適用をふまえて検討されているミリ波の周波数です。
具体的な周波数は37GHz~43.5GHzであり、最も周波数が高く、かつ最も幅広い帯域幅(6.5GHz幅)が検討されています。
こちらもどのような割当の内訳となるかは不明です。
3GPPの策定したNRバンドと照らし合わせると複数が該当し、37GHz~40GHzがn260、39.5GHz~43.5GHzがn259となります。39.5GHz~40GHzは理論上どちらのバンドでも運用が可能です。
なおn259は香港などで割当が計画されており、n260はアメリカで商用化されているバンドです。
まとめ
今回取り上げた周波数を以下の表にまとめます。
周波数帯 | NRバンド | 帯域幅 | 割当時期 |
---|---|---|---|
2.3GHz帯 | n40 | 40MHz | 2021年度内 |
2.6GHz帯 | n41 | 20MHz | 未定 |
4.9GHz帯 | n79 | 100MHz | 未定 |
26GHz帯 | n258 | 1,750MHz | 未定 |
40GHz帯 | n259/n260 | 6,500MHz | 未定 |
以上、5G割当検討周波数の概要でした。
以前も簡単に本サイトで紹介しましたが、より具体的に解説しました。
2.3GHz帯や2.6GHz帯は帯域幅が狭く、一旦4Gでの運用から始めた方が良いような気もしますが、資料を見る限り総務省的には5G前提で検討しているようです。
具体的に公表した、とはいってもまだまだ計画段階の周波数が多く、年度内に割当が行われるのは2.3GHz帯のみに留まるでしょう。
参考
コメント