KDDIおよび沖縄セルラー電話は、以前からアナウンスしていた700MHz帯(既存周波数)の転用5Gを、予告通り2021年の春より開始したようです。
大阪府内でも開局しているようなので、現地レポートを行いました。
700MHz帯とは?
まず700MHz帯について簡単に説明します。
700MHz帯は元々4G LTE向けに割り当てられた周波数であり、現在もLTE Band 28として利用されています。
比較的最近、テレビなどの電波を再編して携帯電話向けに割り当てられた周波数であることから、既存の2GHz帯(Band 1)や800MHz帯(Band 18/26)ほど活用されているとは言えませんでした。
しかし、日本で利用されている携帯電話の周波数で最も低いことや、あまり活用されていなかったことを逆手に取り、この周波数を5Gに転用して5Gエリアの拡大を狙う目的があるようです。
とはいえ、元々LTE向けに割り当てられた周波数のため、通信速度はLTEとほぼ同等に留まります。
なお5GのNR Bandではn28となります。
余談ですが、この周波数は4Gと5Gを同時に吹くことができるDSS(ダイナミック・スペクトラム・シェアリング)という技術が標準化されており、事業者側はそれを提供できるのですが、今回視察した局ではDSSを行っておらず、5Gのみが吹いていました。
記事執筆後も継続的に検証を行っていますが、DSSが行われている局は今のところ確認していません。
Softbankでも700MHz帯は基本的にDSSが行われていないようなので、今後auもあまり積極的に行わないかもしれません。
大阪市内で開局を確認 ただし調整中か
そして先日、福島区福島8丁目付近で700MHz帯の5Gであるn28の開局を確認しました。
なおこの場所は既存の5Gエリアであるため、エリアの拡大というよりはむしろ拡大に先立って最終調整を行っているように感じました。
条件が良ければ上記ツイートのように下り300Mbps、上り80Mbps以上を見込めるようですが、今後展開されていく700MHz帯の5Gエリアでは概ね以下のような速度になることが予想されます。
4Gと比較して下り速度は同等レベルですが、上り速度は今まで10Mbps程度の場所が大半だったため、各所で上り速度の改善が見られそうです。
なお、これらの携帯電話の周波数は免状が下りれば総務省の電波利用ホームページで確認できます。
まとめ
NTTドコモは「優良誤認の可能性がある」として既存の周波数の5G転用を先延ばしにしていますが、近頃「5Gが遅い」「5Gになると通信できなくなる」という声がSNSで飛び交っています。
このドコモ5Gで上り通信のエラーが発生しやすい原因の一つに「5Gの周波数が高い」という点が挙げられるので、どのキャリアでも既存の周波数を可能な限り5Gに転用すべきだと筆者は考えています。
Softbankはauよりも一足早く700MHz帯の5Gサービスを開始していますが、どのキャリアが一番早く人口カバー率99%を達成するでしょうか。
今後の動向に注目です。
auの700MHz帯5G免許情報(全てが700MHz帯5Gではない可能性があります)
※任意の都道府県や市区町村で絞ってください。
Softbankの転用5G免許情報
※任意の都道府県と市区町村で絞ってください。
アイキャッチ画像:au
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