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2021年からたくさんの噂が囁かれ、2022年1月に発表となったGalaxy S21 FE。
あれほど話題になったのに実機をレビューしている人がほとんどいなかったので、今更ですが購入してみました。
手元に届き使用してから2週間ほど経過したため、実際に使ってみたレビューをまとめます。
スペック
WiFi | IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax 2.4G/5GHz |
Bluetooth | 5.0 |
ディスプレイ | 6.4インチ FHD+ Dynamic AMOLED 2X |
リフレッシュレート | 最大120Hz |
解像度 | 1080 x 2340 |
寸法 | 155.7 x 74.5 x 7.9 mm |
重量 | 177g |
プロセッサ | Snapdragon 888 (2.84GHz,2.4GHz,1.8GHz) |
メモリ/ストレージ | 6GB / 128GB (外部メモリ非対応) |
バッテリー容量 | 4500mAh |
リアカメラ | ①超広角 12MP F2.2 ②広角 12MP F1.8(OIS) ③望遠 8MP F2.4(光学3倍) |
インカメラ | 32MP F2.2 |
生体認証 | 指紋(画面内)/2D顔認証 |
備考 | IP68、ワイヤレス充電対応、デュアルSIM対応(eSIM非対応) |
Galaxy S21 FEにはSnapdragon 888搭載モデルとExynos 2100搭載モデルが存在しますが、今回はヨーロッパ向けのモデル(SM-G990B2/DS)なので、Snapdragon 888搭載モデルのレビューになります。
イタリアのAmazonにて6/128GBモデルを本体価格404ユーロ(約55,000円)で購入しました。送料や関税を含た合計の費用は65,000円前後です。
769ユーロという元値を考えると、新品にしてはかなり安く手に入りました。
対応バンドは型番で大きく変わる
なお本機種は廉価版につきアンテナ性能が抑えられているため、他のSシリーズと比べて対応バンドが少なくなっています。この影響により型番によって対応バンドが大きく異なり、日本で利用するにあたって支障が生じる場合があります。
今回筆者が購入したものと同型番であれば大きな影響はないですが、日本で最も流通している中華圏(特に香港や台湾)版SM-G9900の場合、auとドコモのプラチナバンドには対応していません。エリアに大きな支障がなく利用できる通信事業者は理論上ソフトバンクのみとなっています。
なお欧州などに展開されているSM-G990BとSM-G990B2は、化粧箱のサイズや製造国(インド・ベトナムなど)に差異があるようです。ただし本体のハードウェアに関して特段大きな差はないと思われます。
外観をチェック
今回は最も安かったことが理由でグラファイト(黒)をチョイスしました。側面の質感はS21シリーズに近いですが、背面はミドルクラスのAシリーズに近いという印象を受けました。
というか、むしろ背面はミドルクラスよりも安っぽいです(これについては詳しく後述します)。
背面とは異なりディスプレイ面は好印象で、比較的ベゼルは狭いです。上側中央のパンチホールはNote10シリーズ並か、それらより少々小さいくらいだと思います。
側面下部はSIMトレイ、マイク穴、USB Type-C端子、スピーカーがあります。
その他、上側側面にはマイク穴ひとつ、右側面には音量ボタンと電源ボタンが存在します。
モバイル通信の利用可否
イタリア版Galaxy S21 FE(SM-G990B2/DS)としてモバイルデータ通信利用可否についても調査しました。
※本機種は技適未確認のため、日本在住の方に無線通信の利用を推奨していません。利用するにあたっては自己責任でお願いします。
対応バンド
本機種の対応バンドは以下となっています。ただしGSMは日本で運用されていないため省略しています。
※太字は日本で利用されているバンド。
モデル名 | SM-G990B2/DS |
3G UMTS | B1(2100), B2(1900), B4(AWS), B5(850), B8(900) |
4G FDD LTE | B1(2100), B2(1900), B3(1800), B4(AWS), B5(850), B7(2600), B8(900), B12(700), B17(700), B20(800), B26(850), B28(700), B32(1500), B66(AWS-3) |
4G TDD LTE | B38(2600), B40(2300), B41(2500) |
5G FDD Sub6 | N1(2100), N3(1800), N5(850), N7(2600), N8(900), N20(800), N28(700), N66(AWS-3) |
5G TDD Sub6 | N38(2600), N40(2300), N41(2500), N78(3500) |
日本のバンドと比較
日本で利用されているバンドと本機種がスペック上対応しているバンドを照らし合わせます。対応しているバンドに関しては赤太字で記載しています。
4G/LTE | 700MHz帯 | 800MHz帯 | 900MHz帯 | 1.5GHz帯 | 1.7GHz帯 | 2GHz帯 | 2.5GHz帯 | 3.4GHz- 3.5GHz帯 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
docomo | B28 | B19/B26 | – | B21 | B3 | B1 | – | B42 |
au | B28 | B18/B26 | – | B11 | B3 | B1 | B41 | B42 |
Softbank | B28 | – | B8 | B11 | B3 | B1 | B41 | B42 |
Rakuten | – | B18/B26 | – | – | B3 | – | – | – |
5G/NR | 700MHz帯 | 1.7GHz帯 | 2GHz帯 | 2.3GHz帯 | 2.5GHz帯 | 3.4GHz- 3.5GHz帯 | 3.7GHz帯 | 4.5GHz帯 | 28GHz帯 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
docomo | n28 | – | (n1) | – | – | n78 | n78 | n79 | n257 |
au | n28 | (n3) | – | (n40) | n41 | n78 | n78,n77 | – | n257 |
Softbank | n28 | n3 | – | – | – | n77 | n77 | – | n257 |
Rakuten | – | (n3) | – | – | – | – | n77 | – | n257 |
前述の通りこのモデルはB26に対応していますが、香港版・台湾版の中華圏向けモデル(SM-G9900)は対応していないので、購入する際は注意が必要です。
検証結果
以下実機による検証結果の表です。
docomo | au | Softbank | Rakuten | |
---|---|---|---|---|
3G | △ | – | ○ | – |
4G | ○ | ○ | ○ | ○ |
5G | × | × | × | × |
VoLTE | ○ | ○ | ○ | ○ |
Rakuten Link | – | – | – | ○ |
本機種は本来2021年下半期に発売される予定だったためか、A52s 5Gと同じく5Gは一切利用不可でした。なお2022年モデル以降は欧州版でも5Gが利用できるようになっていると言われています(筆者が検証したわけではないので断定はしません)。
対応バンドの問題ではないためアップデートで利用できるようになる可能性も残っていますが、それを待つよりも新しい機種を購入したほうが早いと思います。
なお5Gに繋がらなくても良ければ特に問題なく利用が可能です。
ベンチマーク結果
今回もAnTuTu v9およびGeekbench 5の計測を行いました。
AnTuTu v9
AnTuTuは連続で2回計測しました。左側が1回目、右側が2回目です。
Snapdragon 888搭載機としては少し低めの80万点弱という結果になるようです。
立て続けに2回計測しましたが、室温10度で計測したためかスコアは安定していました。夏に計測するともう少し低くなると思います。
Geekbench 5
こちらもSnapdragon 888としては標準か少し低い程度の結果になりました。
まとめると、いくら2世代型落ちとはいえ必要十分以上のスペックを持ち合わせているため、普段使いは非常に快適で引っかかりもほぼ感じません。
今のところ熱暴走はなく、安定しているように思います。
カメラをチェック
本機種の背面カメラ構成はDevice info HWで確認したところ
- SONY IMX555:広角
- SONY IMX258:超広角
- SK Hynix Hi-847:3倍望遠
のようです。
以下簡単な写真作例を掲載します。
昼間の撮影についてはいずれのカメラにおいても必要十分という感想です。ただ超広角は歪みこそ気にならないですが、やや暗めに写る気がしました。
そのほか総じて寒色に写りやすい傾向にありますが、これは恐らくSnapdragonのISPによる癖だと思います。過去の検証から推測して、同じS21 FEでもExynosモデルではこれより暖色寄りの写りになると考えられます。
特に望遠は期待していなかったものの、10倍でもかなり実用的だと感じました。ハードウェアは異なりますが、このあたりはS21とほぼ同等性能なのではないかと思います。
ハードウェアをチェック
ハードウェアは一部を除けばハイエンド寄りのものが多く採用されている印象を受けました。
プロセッサだけでなく、そのほかのスペックについてもハイエンド並の箇所が多いです。以下印象的な箇所を紹介します。
薄型軽量
本機種は厚さ8mm未満かつ重量180gを切っており、近年分厚く、重くなりつつあるハイエンド端末としてはかなり薄型・軽量です。
230g弱のS22 Ultraをメインに使用している筆者とっては、重めのシリコンケースを装着してもなお軽いと感じるくらいです。
軽いに越したことはないので、このあたりは良い印象を持ちました。
高品質のバイブ
バイブのモーターはハイエンド並のものが採用されているようです。振動に安っぽさを感じません。
S21と同じものかどうかは分かりませんが、触覚エフェクトや通知の振動などはミドルクラスではなく、まるでハイエンドを使っている感覚です。
良好なスピーカー音質
先日レビューしたA53ほどではありませんが、これもまたハイエンド並です。
ステレオでも音に偏りがなく音量もそれなりに大きいので、音楽や動画鑑賞がはかどるスペックを十分持ち合わせていると思います。
綺麗なディスプレイ
本機種のディスプレイはおそらくサムスン製とみられますが、ハイエンドに負けず劣らず明るく綺麗です。屋外でもそれなりの視認性があり、必要十分な性能は持ち合わせていると思います。
ちなみに指紋認証は光学式で、認証速度は超音波のそれと比べるとそこまで早くないです。ただ屋外でも認証の精度が大きく変動することもないので、安定はしてると思います。
精度の良し悪しには個人差がありますが、指紋が薄い筆者でも失敗は少なく、特に支障は感じません。
ワイヤレス充電ができる
先代のS20 FEも対応していましたが、本機種は廉価版ながらもワイヤレス充電・逆充電が可能です。逆充電はウェアラブル端末などのバッテリーが切れた際の緊急時用として重宝しています。
ミドルクラスのAシリーズは執筆時点でワイヤレス充電に対応していないため、これらとの差別化のつもりなのかもしれません。
なくて困ることはないんですが、ワイヤレス充電はあると便利なんですよね。
背面の質感がひどい
とまあ散々褒めちぎってきたわけですが、残念ながら良いところだけではありません。
唯一で最悪な欠点は「背面がショボすぎる」です。
プラスチックを採用すること自体は廉価版という立ち位置からも許容できます。しかし本機種は背面をちょっと押すだけでポコポコと音を鳴らしながら凹んでしまうくらい安っぽいです。悪い意味で衝撃を受けました。
ケースなしで使うと片手で操作するたびにポコポコと音が鳴り大変不快です。背面プラスチックで散々叩かれたS21でもここまでは酷くなかったんですけど…。
ある程度の個体差はありそうですが、とても定価769ユーロの端末とは思えません。
気になる人はケースを装着して誤魔化したほうが良さそうです。
バッテリー持ち
バッテリー持ちは良くもなければ悪くもない、普通レベルです。まあハイエンドGalaxyにしては良い方なんじゃないでしょうか。
ChromeによるネットサーフィンやYouTube観賞、Twitter閲覧といった普段の使い方をしてみたところ、100%から20%使って画面オン時間が9時間〜9時間半になりました。
なお、この検証はセットアップが完了して1週間経過した時点で行っています。
これはどのGalaxyにも言えることですが、バッテリー消費の最適化には約1週間程度かかります。セットアップしてから3日程度ではバッテリー持ちの判断ができないので注意が必要です。
ちなみにS22やZ Flip4は同条件で画面オン時間が8時間前後だったので、これらよりもバッテリー持ちは良いです。
まとめ 安ければ欲しいけど…
結論を先に言ってしまうと「安かったら欲しいけど、なければ他の機種で足りる」です。
今回はたまたま割引されていたので非常に安価で入手できていますが、正直定価で買う価値はないと思いました。ちなみに本機種の定価はアメリカだと699ドル(発売時レートで8万円弱)でした。まあ発売がS22シリーズの1ヶ月前だとこんな時期に4割引きするくらい在庫余るよね、としか思いません。
とはいえ2021年の夏ごろに発売されていれば話は変わっていたかもしれません。それだけモノ自体は良いと感じました。
全てはタイミングが悪いです。
2023年は後継機種となるS22 FEが出るという噂もあるようなので、もし出るならばレビューしたいと思います。
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