Galaxy S23 FE 実機レビュー – 影が薄い割にポテンシャルはとても高い

Android
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Galaxy S23シリーズのうち、最も安価なモデルであるGalaxy S23 FE。

展開地域が限られていることもあり情報は少なく、謎が多い存在でもあります。

そんな少し珍しいGalaxyを入手して半月程度経過したので、実際に使用してみたレビューをまとめます。

なお、Galaxy A54と比較した外観のクイックレビューはこちらをご覧ください。

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スペック

当サイトでは何度か掲載していますが、改めてスペックをおさらいします。

同シリーズの基本モデルとなるS23と、先代モデルのS21 FEのスペックも参考として記載します。

Galaxy S23 FEGalaxy S23(参考)Galaxy S21 FE(参考)
WiFiIEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax 2.4G/5GHz/6GHzIEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax 2.4G/5GHz/6GHzIEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax 2.4G/5GHz
Bluetooth5.35.35.0
ディスプレイ6.4インチ
Dynamic AMOLED 2X
6.1インチ
Dynamic AMOLED 2X
6.4インチ
Dynamic AMOLED 2X
リフレッシュレート60-120Hz(可変)48-120Hz(可変)120Hz
解像度1080 x 23401080 x 23401080 x 2340
寸法158.0 x 76.5 x 8.2 mm146.3 x 70.9 x 7.6 mm155.7 x 74.5 x 7.9 mm
重量209g168g177g
プロセッサExynos 2200
または
Snapdragon 8 Gen 1
Snapdragon 8 Gen 2 for GalaxySnapdragon 888
または
Exynos 2100
メモリ8GB8GB6GB~
バッテリー容量4,500mAh3,900mAh4,500mAh
リアカメラ①超広角 12MP F2.2
②広角 50MP F1.8
③望遠 8MP F2.4(光学3倍)
①超広角 12MP F2.2
②広角 50MP F1.8
③望遠 10MP F2.4(光学3倍)
①超広角 12MP F2.2
②広角 12MP F1.8
③望遠 8MP F2.4(光学3倍)
生体認証指紋(画面内)/2D顔認証指紋(画面内)/2D顔認証指紋(画面内)/2D顔認証
出典:Samsung

今回はまめこmobileよりマレーシア版の128GBモデルを92,000円で購入しました。

S23 FEはS21 FEに比べると進化していますが、廉価版という立ち位置のためS23シリーズと比べるとコストカットを感じます。特にプロセッサは1世代前のものが搭載されており、最もコストカットを感じる部分のひとつと言えるでしょう。

その代わり価格が抑えられており、マレーシアではS23よりも2~3割ほど安価な2,990リンギット(約96,500円)の定価で販売されています。

なおS23 FEは他S23シリーズとは異なり、販売地域によって搭載するプロセッサが異なります。北米・中華圏はSnapdragon 8 Gen 1を搭載しますが、その他の地域はExynos 2200を搭載します。

今回レビューするのは後者のExynos 2200搭載モデルであり、Snapdragon版とは少し仕様が異なる場合があります。

ベンチマークをチェック

まず実機によるベンチマーク結果をチェックします。

なお計測は全てリフレッシュレート120Hz(最適化)で行っています。

AnTuTu V10

左は外部からの冷却なし、右は冷却ありのスコアです。

左:冷却なし、右:冷却あり

外部冷却の有無によるスコア差はGalaxy S22シリーズ(Snapdragon版)ほどなく、排熱性能の強化が数値に現れています。

しかし発熱そのものは相変わらず気になりました。他S23シリーズほどのパフォーマンス持久力はなさそうな様子です。

ちなみにAnTuTuのランキングによると、S23 FEはS22シリーズよりも少々高めのスコアが出る傾向にあるようです。

参考:AnTuTu(2023/11/09撮影)

Geekbench

Geekbenchでは2つのバージョンで計測しました。

Geekbench 5

Geekbench 6

型落ちといえどハイエンド級であることには変わりなく、スコア通り普段使いの動作は非常に快適です。

また同じくExynos 2200搭載のS22シリーズと比較すると、やや平均スコアが高い様子です。

調子が良い時のS22シリーズのスコアがほぼ常に出るようなイメージで、プロセッサの性能が向上したというよりは熱処理が改善された、と言ったほうが正しそうです。

シャニソン

ベンチマークアプリではありませんが、要求スペックが高いゲームとして知られる「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」(シャニソン)で、実用的な3Dゲーム性能を評価します。

可能な限りの最高画質設定で「星の声」MVを再生した結果、平均48.224FPSとなりました。

はやぽんさんの検証を参考にすると、同世代のプロセッサ(Snapdragon 8 Gen 1)を搭載するXperia 5 Ⅳに近い性能を発揮しているようです。Snapdragon 8 Gen 2に比べるとカクつきが目立つものの、高負荷な条件の割には健闘していると思います。

ちなみに「グラフィック優先」の画質設定でプレイしている際にもコマ落ちが少し気になる場面がありました。

難易度の高い譜面をプレイする際は、画質を下げたほうが良いかもしれません。

パフォーマンス総論

型落ちプロセッサを搭載しているという事実に変わりはないものの、以前使用していたSnapdragon版のS22シリーズよりも、全体的にパフォーマンスが安定しているように感じました。

普段使いで性能不足を感じることはほぼなく、ほとんどの人にとって十分なスペックだと思います。

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カメラをチェック

Galaxy S23 FEのイメージセンサーをDevice Info HWで確認したところ、

  • 広角:Samsung ISOCELL GN3
  • 超広角:Samsung ISOCELL 3L6
  • 3倍望遠:SK Hynix Hi-847

が搭載されているようです。

S21 FEは広角・超広角ともにソニーのセンサーが採用されていましたが、いずれも自社のセンサーに置き換えられました。

メインの広角カメラ(GN3)はS22シリーズ以降のハイエンド機によく搭載されているセンサーと同じもので、良く言えば実績のあるセンサーと言えます。

なお、以下の作例は全て1200 x 900に圧縮しています。

昼間

超広角

歪みこそ少ないものの、全体的にぼんやりとした写りになりやすく、解像感があまりないように感じます。

超広角を頻繁に使うことはあまりないかもしれませんが、この点はやや気になりました。

0.6倍

広角

一方で広角カメラは比較的安定しており、Galaxy Sシリーズらしい写りとなる印象です。

なお今回のレビューに使用しているS23 FEはExynos版ですが、Exynos版GalaxyはSnapdragon版のそれよりも暖色っぽい写りになる傾向があります。

1倍
Z Fold5・1倍(Snapdragon参考)

望遠

望遠は他Sシリーズと同じく、10倍程度なら必要十分な性能だと思いました。

3倍
10倍

高倍率ズーム時はExynos搭載機種のほうがSnapdragonと比べてノイズが控えめに写ります。しかしその反面解像感が低くなる傾向にあるため、解像感に関しては他S23シリーズなどのハイエンド機種に劣る印象を受けました。

30倍
Z Fold5・30倍(Snapdragon参考)

夜間

夜間については特にGalaxy S22シリーズらしい写りになります。

通常のオート撮影では広角・超広角ともに白飛びが気になるものの、ナイトモードで撮影すれば概ね満足できる写りになります。

ただ超広角は相変わらず解像感が低く、センサーサイズの小ささも相まってハードウェア性能の限界を感じます。

夜景は基本的に広角カメラで撮影したほうが良さそうです。

動画

60FPSの撮影は広角カメラのみに留まるため、画角の広さを諦めるか、動画の滑らかさを諦めて30FPSで撮影するかの二択を強いられます。

とはいえ、Z Fold5も超広角カメラで60FPS撮影は利用できないので、まあこんなもんだと思います。

30FPSにすれば他のカメラも利用できるようになりますが、動画でよく使うであろう超広角カメラ(0.6倍)は静止画と同じくミドルクラス並の性能です。

超広角での撮影は直射日光ほどの明るさがないと、光量不足でノイズが目立つようになります。

一方で、広角カメラはスーパー手振れ補正かつFHD・60FPSの撮影が可能です。この点は数少ない良いポイントだと思います。

カメラ総論

センサーもプロセッサも大体同じなので当然ではあるものの、静止画に関してはかなりGalaxy S22に近い印象です。

S22シリーズからS23シリーズでハードウェア自体は大きく変化していないので、これで十分という人も多いかもしれません。

ちなみにカメラアプリの動作は1年前に使用した時のS22よりも快適で、モードの切り替えや通常の撮影で気になるカクつきは見られませんでした。

動画に関しても超広角はいまひとつです。広角カメラの性能は決して悪くないだけに、非常に惜しいと思います。

バッテリー持ちをチェック

SNS鑑賞・ネットサーフィン・コンテンツ鑑賞を主として、100%から20%まで使用した際の画面ON時間を計測しました。

なお検証はバッテリー最適化後に行っており、常時リフレッシュレートは最大120Hz(最適化)にしています。

結果、画面ON時間は約10時間半となりました。

これは他S23シリーズに比べるとやや短い駆動時間となりますが、同じ世代のプロセッサを搭載するS22シリーズと比較すれば、かなりバッテリー持ちが良い方だと思います。

ちなみに先代のS21 FEに比べると体感でも分かるほど駆動時間が長くなっています。

パフォーマンス調整が可能

Galaxy Z Flip4・Z Fold4以降から利用できる「パフォーマンスプロファイル」の機能がS23 FEでも利用できます。

この「ライト」を適用すると実際にパフォーマンスが低下し、バッテリー持ちがやや改善されるようです。

Geekbenchスコアはマルチ・シングル共に微減となり、その分バッテリー持ちは上記とほぼ同条件で約30分程度伸びました。

30分の駆動時間増加が有意なものなのかは微妙なところですが、普段使いではライトモードのほうが良いかもしれません。

本体スピーカーをチェック

以下デフォルト設定でのスピーカー音声を録音したファイルです。音量は50%程度に設定しています。

※楽曲はこちらから引用しました。

Track: Spektrem – Shine [NCS Release]

Music provided by NoCopyrightSounds.

Watch:    • Spektrem – Shine …  

Free Download / Stream: https://ncs.io/Shine

正直、音質は値段の割に良くないと思いました。

重低音が弱いためS23シリーズと比較すると明らかに劣っており、音楽鑑賞の際は安っぽさを感じます。ただし、動画鑑賞であればギリギリ許容できるレベルだと思います。

音楽鑑賞は一般的にイヤホンかスピーカーを接続することが多いので、普通の使い方では必要十分かもしれません。

ディスプレイをチェック

Galaxy S23 FEのリフレッシュレートは最大120Hzで、なんちゃって可変リフレッシュレートが採用されています。One UIは可変リフレッシュレート対応機種の場合、設定の選択肢が「高」ではなく「最適化」と表記されるため、簡単に判別できます。

筆者が実機で調査したところ、画面に指が触れている間(キーボード入力時を除く)は常に120Hz、指が離れてから1秒ほど経つとリフレッシュレートが60Hzに低下する仕様になっていることが判明しました。

60Hz未満には対応しておらず、また60Hzと120Hzの二択だけのようですが、常に120Hzで表示されるよりはバッテリー持ちが向上すると思います。

良いと思った点

安っぽさがなくなった外観

先代のS21 FEではプラスチックの背面であり、なんなら押すとベコベコするほど安っぽい残念な質感でした。

ところがS23 FEでは背面がガラスになり、安っぽさはほとんどなくなり、所有欲が満たされます。また側面はマット調になっているため、指紋が目立ちにくいです。

コストカットを感じても及第点

Galaxy S23 FEは廉価モデルという立ち位置のため、随所にコストカット部分が散りばめられています。

  • プロセッサ
  • スピーカー
  • バイブレーション
  • ディスプレイ

…などなど、少し考えるだけでも複数思い浮かびます。

しかし、いずれにおいても極端に酷いわけではありません。個人的にはハイエンドというアイデンティティをギリギリ保てるラインに留められてると感じました。

S22よりも安定している

同じ世代のプロセッサを搭載しているにも関わらず、昨年購入したGalaxy S22(Snapdragon版)よりも、S23 FEは総じて安定している印象を受けました。

発熱もS22ほど気にならず、発熱に伴うパフォーマンス低下も頻度が減り、より一層快適さが増しています。

またバッテリー容量の差を考慮しても駆動時間が長く、燃費が改善されている様子です。

ハードウェアかソフトウェアかは分かりませんが、S22シリーズから何かしらの改善が施されていると考えられます。

完成度の高さはS23シリーズ譲りと言えるでしょう。

惜しいと思った点

入手難易度が高い

Galaxy S23 FEの致命的な欠点は入手難易度の高さです。

日本では未発売のため基本的に輸入する必要があり、一般消費者が気軽に手に入れられるものではありません。

また越境ECなどで取り扱いがあったとしても、10万円前後の資金を用意する必要があります(2023年11月時点)。

この金額を出すならば他のGalaxyを買う方が手っ取り早く、わざわざS23 FEにする意味はほとんどありません。

ベゼルが太い

個人的には気になりませんが、中国メーカーのミドル端末と比べて安っぽいことなどからインターネットでは批判されているため、惜しいポイントとして取り上げます。

Galaxy S23 FEのディスプレイはGalaxy A54のそれと同サイズのものが搭載されており、ベゼルが他S23シリーズよりも太くなっています。

左:Galaxy S23 FE、右:Galaxy S23 Ultra

もちろん輝度や色味などの表示品質は申し分なく、一般的な用途であれば支障はありません。

とはいえ、低コストな他社製のディスプレイを採用して、細いベゼルを実現しても良かったのかもしれません。

Galaxy A54とはケースの互換性なし

外観はかなりGalaxy A54に似ていますが、音量ボタンと電源ボタンの位置が異なるため、A54とS23 FEでケースの互換性はありません。

そのためケースの選択肢は少なく、かろうじて日本のAmazonで販売しているかどうかというレベルです。

またAmazonでも配送に時間を要する場合があるため、もしケースが欲しいのであれば、事前の購入を強くオススメします。

一方で、画面保護フィルムに関してはGalaxy A54用のものでも代用可能でした。入手難易度を考えると、こちらはA54用のものを選んでも良いと思います。

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まとめ

他S23シリーズと比べると随所にコストカットを感じますが、全て許容できるレベルには達しています。むしろ今Galaxy S22を買うよりは圧倒的に満足度が高いと思います。

プロモーション次第ではGoogle Pixel 8とも張り合えるんじゃないかとも思えるほど満足しています。

しかしサムスンはS23 FEを本気で売るつもりがないようで、海外でもプロモーションのやる気を感じられません。S21 FEから引き続き販路は限定的になる模様です。

実際に使ってみた感想としては、この方針はとてももったいないと思いました。

極端な円安がなければ日本でもS23 FEがSIMフリーで販売されていたかもしれません。

今年はスマートフォンを除くFEシリーズが日本初上陸したこともあり、来年こそはスマートフォンの展開に期待したいところです。


販路を考えると万人にオススメできるものではありませんが、物好きのサムスン信者にはオススメの1台です。

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