近年iPhoneが衛星通信に対応する噂や次期Androidバージョンで衛星通信に対応することをGoogle幹部が示唆するなど、低軌道衛星によるモバイル通信の提供を目指すことがトレンドになっています。
執筆現在でも衛星通信によるモバイル通信サービスの提供は行われていますが、従来のサービスと一体何が違うのでしょうか。
今回は低軌道衛星通信について、簡単に解説します。
低軌道衛星通信のメリット
低軌道衛星通信とは、高度約2000km以下で周回する人工衛星による通信サービスを指します。
高度約2000km以上を周回する人工衛星と比べて打ち上げのコストが低く抑えられ、近年注目されています。また応答速度が数十ミリ秒と比較的低遅延なことからも、レスポンスの速さが求められるモバイル通信に向いていると言えるでしょう。
そして従来の衛星では実現できなかった、人工衛星とスマートフォンを直接通信する技術が実現されようとしています。
低軌道衛星通信であれば一般的なスマートフォンの電波出力でも技術的に通信ができるようになりつつあり、わざわざ衛星電話を使わずとも海上や山頂など、世界中の上空が見通せる場所で通話が可能になるかもしれません。
従来の衛星通信と何が違う?
日本の通信事業者も山間で衛星通信の回線を使用しています。
しかしこれはあくまで光回線が引けない場所で通信できるようにするためのもので、地上の基地局設備は必須でした。また通信には静止衛星が主に使用されており、遅延がやや気になります。
今回話題になっている低軌道衛星通信は、衛星とスマートフォンが直接通信する予定です。つまり地上の基地局設備がなくともインターネットに接続できるということになります。
そのため、理論上は空が見通せる場所であれば世界中で通信ができるようになるのです。
課題点もあり
しかし「空が見通せる場所で利用できる」ということは、裏を返せば「空が見通せない場所は通信ができない」ということを指します。スマートフォンの出力から考えても屋根のある建物に入ったり、日陰に入ったりするだけでも通信不能となる可能性があるでしょう。
また天候に左右される可能性もあります。快晴であれば問題ないでしょうが、周波数によっては厚い雲に覆われた悪天候や雷雨で通信不能となる可能性も捨てきれません。
もちろん不感地帯で使えるに越したことはないですが、このような問題があることは念頭に置いた方が良いかもしれません。
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画像:SpaceX
参考
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