回線契約なしでも大幅値引き?令和で再びiPhoneの「一括1円」が問題視されている理由

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毎年3月は携帯業界の最繁忙期です。この時期、大手通信事業者ではほぼ必ずと言って良いほど、iPhoneをはじめとしたスマートフォンの大幅値引きが行われます。

とはいえ2019年に「回線契約を伴った端末値引きが2万円まで」と法律で定められたため、しばらく「一括1円」のような過激な値引きは行われませんでした。

ところが2021年下半期になって徐々に「一括○円」が復活しはじめます。

2022年になっても端末単体販売の拒否は続き、「店舗独自割引」と称した2万円以上の値引きが行われていましたが、3月に入って「ケータイショップが端末の単体販売を拒否する問題」がインターネット上で話題となりました

結果的に端末単体販売の拒否は減少し、契約なしでスマートフォンを購入できるようになる確率は高くなりました。しかしこの「大幅に値引きされた端末を回線契約なしで購入できる」という状況は非常に危険であり、このまま放置するわけにはいきません

一体何が問題なのか、簡単に解説します。

販売すればするほど赤字

基本的にキャリアから実店舗のショップ(代理店)への端末仕入れ値は、ほとんど定価と言われています。つまり代理店が利益として得られるマージンは「ない」か「ほとんどない」はずです。

値引きなしで売っても大した利益にならないのに、大幅値引きした端末のみの販売は自身の首を絞めるだけです。

さすがにこんなことをやり続けるとは考えにくいですが、このままでは代理店が閉店するどころか、代理店を運営する企業も潰れてしまうかもしれません。

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反社会的勢力の資金源になる

この「大幅値引きした端末の単体販売」で最も問題視されている点のひとつに「反社会的勢力の資金源となりうる」というものがあります。

回線契約を伴わない端末の一括購入は、基本的に審査がなく誰でも購入できます。これに大幅な値引きを適用すると、当然ながら転売行為が横行します。この転売は多かれ少なかれ、直接・間接問わず反社会的勢力が絡んでいることがあり、事実上それら資金を流していることになります。反社会的勢力に資金が流入すると、それらの勢力が強まり、結果として日本全体の治安が悪化してしまうことに繋がります。また大手通信事業者などといった企業の社会的責任(CSR)の面でも問題といえます。

2万円を上限とした値引き規制は、当初「暴力団をはじめとした反社会的勢力への資金流入を防止するため」という目的で設けられたものでした。しかしこの規制によって、以前よりも反社会的勢力への資金流入のリスクが高まっているという本末転倒な状態になっていたわけです。

このように大幅値引きは深刻な問題のため、総務省も早急に行政指導を実施するでしょう。間もなく「店舗独自値引き」は規制され、二度と復活することはないと思います。

代理店制度も法令も問題あり

そもそもこのような問題が発生するのは「ケータイショップの二次代理店制度」が悪いため、と言わざるを得ません。多少のメリットがあるにはあるかもしれませんが、是正すべき点が多いのは言うまでもありません。

明らかに異常な流通システム、通信事業者による無茶なノルマ設定、一次代理店の中抜き。これらは本当に全て必要なのでしょうか?

また2万円という割引の上限も厳しすぎるのではないか、と筆者は思います。

当初この上限は3万円以上も検討されていました。こういう問題が実際に発生していることからも、十分緩和の余地があるように感じます。

総務省を巻き込んで、今一度考え直す時かもしれません。

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