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キャリアのAndroidでは他社に乗り換えできない?日本ならではの複雑な事情とは

Android

総務省は2021年10月1日より、他社通信事業者(以下キャリア)への乗り換えを円滑化する目的で、原則SIMロック禁止とするガイドラインの改正を行いました。これにより、今後のスマートフォンは基本的にどこで購入してもSIMロックがかかっていない状態となります。

一方で、このSIMロック禁止の恩恵を受けることができるのはiPhoneとGoogle Pixelのみであり、その他のキャリアによって販売が行われているスマートフォンは、引き続き今まで通り他社キャリアで満足に利用できない場合があります

なぜなら、他社キャリアの利用する電波(プラチナバンド)に対応していないことが多いためです。

今回は何故このような問題が起きているのかを簡単に考察していきます。

日本では通信事業者が携帯電話の開発に携わる

日本独自の事情として、キャリアが携帯電話の開発に大きく関与している点があります。

諸外国では通信キャリアと携帯電話の販売は別であることが一般的で、抱き合わせ販売があっても携帯電話の製造メーカーだけで製品を開発し、それを委託販売のような形で通信キャリアが取り扱うという「開発に通信キャリアが関与しないケースがほとんどです。

一方で日本では、本体は製造するメーカーに製造してもらうものの、通信キャリアが開発に携わり「通信キャリアのブランド」として携帯電話を発売するというODMまたはOEM生産のような形態が古くから根付いており、令和の今もなおこの販売形態がとられています。

そのため、基本的に他社での利用を全く想定していないので、その販売するキャリアの周波数(以下バンド)しか対応していないことが多いのです

灰色部分が他社バンド

こちらはNTTドコモの公表する自社販売端末の対応周波数一覧(一部抜粋)です。AQUOSを除き、他社の主要周波数であるauの800MHz帯、Softbankの900MHz帯には一切対応していないことが分かります。

また囲い込み戦略を抜きにしても、他社バンドに対応させることによって「他社で利用できるかどうか」といった責任問題も新たに発生するため、キャリア側も極力対応させたくないのが本音でしょう。

一方でiPhoneやGoogle Pixelはキャリアが開発に携わっているわけではなく、各メーカーがキャリアの力を借りずに開発したオープンマーケット版にSIMロックをかけて委託販売のような形で販売しているため、他社バンドに対応していることが多いです。

なので、これらはSIMロックを解除したりSIMロックが撤廃されたりすると、原則SIMフリー版と同じになるというわけです。

特にiPhoneに関しては対応周波数がもとより豊富で、iPhone 12シリーズに至っては5Gの周波数についてもミリ波以外全キャリア対応しているため、どのキャリアを選んでもエリアにほぼ支障なく利用することが出来ます

キャリアの利用する周波数が固定化している

世界、特に先進国では電波はオークション制が採用されていることが多く、一定の期間を過ぎると再度オークションがかけられ、同じキャリアでも数年に一度使用する周波数が変わるという可能性があります。むしろ先進国でオークション制を採用していない国は日本くらいでしょう。

日本のように携帯電話にキャリアのチューニングが施される傾向のある韓国でさえ、他社キャリアのバンドに対応しています。これは韓国でも電波オークション制を採用していることが一因と考えられます。

つまり必ずしもその周波数で半永久的に運用されることがないため、オークション制を採用した国では、たとえキャリア販売であったとしても使用する可能性のある全ての周波数(≒他社バンド)に対応せざるを得ないのです。

ちなみに韓国はSIMロックが禁止されているので、iPhoneでなくても簡単に機種そのままで他社へ乗り換えることができます。


一方で日本は「5年に1度の審査を行い免許を更新する」という制度となっています。審査を行うとはいうものの、実質的に割当が固定される傾向にあります。なので追加されることはあっても、余程のことがない限り既存で使用している周波数が変更されることはないので、バンドの対応自社が使用するものだけで済むのです。

日本のキャリアのスマートフォンを他社バンドに対応させるには、電波をオークション制とすることが最も合理的かもしれません。費用的に実現しないと思いますが。

乗り換え選択肢が全くないわけではない

しかし全く選択肢がないというわけではなく、同社の回線を利用した格安SIM(サブブランドやMVNO)などは利用できます。

例えば、ドコモのスマートフォンの場合はドコモ回線を利用できる格安SIM、auのスマートフォンはau回線を利用した格安SIMやUQモバイルなど…といったように、スペック上ではそれぞれ各社の機種は、各社の回線を利用した通信事業者で利用できます

ただし、機種によってはSIMロック解除が必要であったり、格安SIM側で動作の確認が取れていない機種もあるので、各自でご確認または自己責任の元ご利用ください。

とはいえ、選択肢を狭めていることに変わりはありません。

「乗り換えたい会社では今使っている携帯電話が使えない」となれば、それは乗り換えの大きな障壁となるでしょう。

日本の携帯業界はまだまだ課題が多い

総務省は近年かなり携帯業界へメスを入れることに注力しており、SIMロック原則禁止のガイドライン改正もその改革の一つです。しかし「乗り換えを促進する」という目標にはまだまだ残された課題が残っていると感じます。

諸外国では基本的に対応バンドやSIMの相性をわざわざ気にする習慣がありません。何故なら、どのSIMをどのスマートフォンに挿しても使えるからです。

日本もこれにならうべきですが、現実的に考えて非常に難しいでしょう。

しかし各社主要バンド対応義務化の法整備と、対応に伴う諸費用の支援を行えば、より乗り換えを促進することができるのではないかと考えています(総務省がここまでするかどうかはさておき)。

今後の総務省の動きに期待です。

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