Galaxyが発熱しにくい理由は”厳しい温度管理”にある可能性

Android

「Snapdragon 888が爆熱である」といった噂が絶えない中、Galaxy S21/S21+/S21 UltraといったS21シリーズで50℃近くまで本体温度が上昇するといったような報告はあまり耳にしません。

これは一定の本体温度以上になるとCPUおよびGPUの性能を抑えるという、いわゆるサーマルスロットリングのようなものが関与しており、他社よりもそれが厳しい可能性があります。

筆者はGalaxyしか所持していないので、他社メーカーのSnapdragon 888搭載機種を利用している読者の方々の全面的なご協力のもと、今回改めて温度によるパフォーマンス調整の検証を行ってみました。

なお本記事ではGalaxy S21(Snapdragon 888版/120Hz)およびSnapdragon 888ではないハイエンドチップとして参考のS21 Ultra(Exynos2100版/FHD+120Hz)で計測を行っています。

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高負荷をかけても一定の本体温度に留まる

本体温度とパフォーマンスの関係を調査するため、AnTuTuベンチマークを室温(約29℃)と冷蔵庫内(約5℃)でそれぞれ計測しました。

まず室温でAnTuTuを計測してみたところ、どちらも本体温度40℃前後で落ち着くという結果となりました。

基本的にチップ問わず最大でも40℃程度で落ち着いており、異常な発熱をすることなく安定しています。しかし、S21のスコアは他メーカーのSnapdragon 888搭載機の平均よりも1割程度低い傾向にあります。

続いて冷やす間を与えず再度計測してみました。

特にExynosが顕著ですが、スコアの著しい低下がみられます。しかし、温度上昇の振れ幅も1回目よりもかなり少なく、高くても43℃前後がピークとなっていることがわかります。いずれも本体温度45℃以上は外部から熱を加えないと難しい様子でした。


では可能な限り同様の条件で読者の方に連続で計測していただいた、他社のSnapdragon 888搭載機種のスコアを見てみましょう。それぞれ1回目が画像左側、2回目が画像右側です。

※若干バージョンやメモリ構成が異なる点、記事の都合上一部を切り取って掲載している点はご了承ください。

  • OPPO Find X3 Pro
  • realme GT
  • SONY Xperia 1 Ⅲ
  • Xiaomi Mi11 (中国大陸版ハードウェア+グローバルROM)

S21はこの中で最も本体サイズが小さく、スペースに余裕がないため排熱が不利であるにも関わらず、温度上昇のピークが42℃と控えめであることが分かります。またスコアもその分控えめで、1回目と2回目のスコア差の割合が他機種と比べても大きくなっています。

Xperiaはどちらも高いスコアと低い温度を維持している上すぐに本体温度が下がっているので、非常に優れた排熱機構を有しているのかもしれません。


Galaxyでの検証に戻ります。最後は熱によるパフォーマンス低下がないスコアを確認するため冷蔵庫内で計測を行いました。

※冷蔵庫にスマートフォンを入れる行為は内部に結露が発生し、水没する可能性が非常に高いため絶対に真似しないでください。

このように、どちらも1回目より約1割ほどスコアが上昇し、他メーカーのSnapdragon 888搭載機種に近いAnTuTuスコアとなりました。


結論としては、Galaxyはやはり他社メーカーのモデルよりも室温でのスコアは若干低くなりがちなようです。

しかし、これは単に性能が低いというわけではなく、パフォーマンス制限をかけ始める本体温度の基準が他メーカーより厳しいのではないか、という可能性が考えられます。

そのため特に夏場では40℃にすぐ達してしまい最大のパフォーマンスが発揮されず、結果的に平均スコアが他機種よりも低く出てしまうのかもしれません。

5Gも40℃付近で利用不可に

本題とは少しズレますが、Galaxyでは5Gも一定の温度以上になると利用できなくなる事象を確認しています。

これは所持していた5G対応Galaxy全てで確認しているため、おそらく全ての5G対応Galaxyで起こるものと考えられます。

Galaxy S21にて5Gエリア内の某所で調査してみました。バッテリー温度37.1℃では5Gを掴んでいることが分かります(Service Modeや通信速度でも接続を確認しています)。

しかし38℃を超えると5Gエリアでも4Gに落ちるようになります。

一度4Gに落ちても、38℃以下に下がると再び5Gに上がります。

調査結果としては、バッテリー温度では38℃前後が節目となっており、それ以上温度が上昇するとNRを離し4Gに落ちる仕様となっているようです。そして38℃前後以下の本体温度となると再びNRを掴むようになり5Gに上がります。ただNRを離すバッテリー温度の値には若干振れ幅があるように見受けられたので、基準は本体温度ではなくモデム部分の温度である可能性もあります。

いずれにせよ、夏の屋外は少しネットを見るだけでも直射日光により本体温度が簡単に40℃以上に達してしまうため、すぐに5Gが利用できなくなってしまいます。

現状はただ4Gに落ちるだけなので大きな支障がなくそこまで問題になることはないものの、何も知らされずに突然5Gが利用できなくなるので「故障かな?」と誤解されかねません。通知で知らせてくれれば良いのですが…。

Galaxyで5Gを利用したい方は、本体温度に十分注意してご利用ください。

まとめ

Galaxyは他社メーカーのスマートフォンと比べて”できるだけ加熱させない“ソフトウェア制御によって発熱・オーバーヒート対策を行っていることが分かりました。そのためベンチマークスコアも低く出やすいのではないか、というのが筆者の考察です。

ベンチマークスコアが低いとその分性能が低いと思われてしまいそうですが、長期的に使っていても重いと感じたことは一切なく、普段使いにおいては十分なパフォーマンスを維持しています。発熱も少なく異常なバッテリー消費もありません。サムスンのOne UIは余計なパフォーマンスを出すことを極力控え、必要最低限の性能でタスクをこなすというソフトウェア方針なのかもしれません。


本記事にてベンチマークスコアを提供して頂いた方々(掲載・あいうえお順)

jiyoung 様 / (本人様運営ブログ)

ボルテ志向

まーてひ

やきとり

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