iPhone SE 第2世代とPixel 4a(4G)の大幅値引きから考える今後の各キャリアの5G展開

5G

今月、「週末限定特価」として各社共にiPhone SE(第2世代)やソフトバンクではPixel 4a(4G版)までもが一括1万円以下といった大幅な値引きを行っているようです。これは特定の店舗に限らず、少なくとも関東では複数の量販店で行われているとの情報が報告されています。

何故今更これらの4G機種が格安価格でばら撒かれているのでしょうか?

各キャリアの動向を敢えて5Gという観点から考察してみます。

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後継機登場の前兆ではなさそう

まず思い浮かぶ「新型の後継機種が登場するので在庫処分を行っている」という可能性ですが、これは考えにくい、またはあまり関与していないと思われます。

例えば次期iPhone SE、つまり第3世代の登場は時折噂されていますが、各国の認証などは通過していないうえ、発売時期もまだまだ先であるという情報が多いです。

キャリアはiPhoneやPixelを委託販売する立場である以上、ある程度の情報は直前に入ってくるでしょうが、数か月、または半年以上前の計画段階といった情報を日本のキャリアが所持している可能性は低いと考えられます。

(iPhoneとPixel全般に言えることですが)今回の特価対象となっている機種はキャリアのAndroidとは異なり、製造や開発に関与しているわけではありません。

よって、新型の噂は今回の叩き売りとは関与していない(すなわち新型が出る前兆ではない)可能性が高いでしょう。

今後5G契約を推し進めるため4G機種の在庫を処分している?

ドコモ・au・ソフトバンク各社とも2021年度中に真の5Gと呼ばれるスタンドアローン(SA Option 2)方式の5Gを提供開始予定です。

現在の5Gはノンスタンドアローン(NSA Option 3)といい、4Gのネットワークを利用し、かつ4Gの電波を接続することが必須となっていました。既存の4Gの電波を絡めることができるため超高速通信は実現できるのですが、ネットワークは4G準拠のものを利用するため、低遅延化や多数同時接続には限界があります。

SA方式は5G単独で動作する所謂「真の5G」となりますが、一方で4Gの電波を絡めることはないため理論値の最大通信速度はその分低下します。実際の速度も一部エリアである程度の低下がみられるでしょう。4Gの電波を5Gに転用し、5Gの電波同士でキャリアアグリゲーションを行うことを今後は推し進めいくことになります。

また5Gの電波同士でのキャリアアグリゲーションを行うまでの移行措置として、5Gのネットワークを利用したNSA(Option 4)方式の5Gを導入することも検討可能です。

(参考図)

話が逸れましたが、真の5GであるSA方式の5Gを展開するにあたって、現在各社とも急速に5Gエリアの拡大を行っているところです。

3Gや4G契約のユーザーを5G契約に完全に移行する準備のため、5G非対応である4G機種(特に人気のiPhone)は早めに売り捌き、4G契約への逃げ道を塞ぎたいという意図があるのかもしれません。

5G対応廉価機種の推進は重要である

Androidでは既に3万円~5万円程度の普及帯(ミドルクラス)の機種が日本でもある程度出揃ってきています。

5G対応のミドルクラス向けチップセットは、CPUやGPUのパフォーマンスが以前の同価格帯機種のそれと比べても飛躍的に向上しています。5Gに興味がなくても、性能やコスパ重視で5G対応機種を選ぶ人は今後増えていくでしょう。

現在は5Gに興味があったり高級機種を購入しそれを長く使う予定の人、という少数派の限られた人が5Gプランを契約していますが、このように普及価格帯の魅力的な5G機種が増加することにより、5G契約者数はその分増えていくことになります。5G自体の整備ももちろん重要ですが、それを利用できる魅力的な機種を投入することも必要不可欠です(5Gを活かすことができるかどうかは別問題ですが…)。

また次期iPhone SEが5Gに対応することになれば、日本の5Gプラン契約者数を爆発的に増やす引き金となるでしょう。

まだまだ5Gは過度期と言っても差し支えがない状況であり、現在の4Gのように主要な通信規格となるには長い時間がかかりそうですが、今後に期待です。


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参考記事

ドコモ・au・ソフトバンク、「真の5G」導入時期が出揃う – Engadget 日本版

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