世界的に最も利用されていると言っても過言ではないGalaxyは、同じ名称だとしてもCPUが異なったり、対応バンドが異なったりと販売地域によって大きく仕様が異なる場合があります。
しかし、型番にはある程度の規則性があるため、その法則さえ知っていれば、どのような仕様であるかが大まかに判別できるようになります。
この型番とモデルの特徴について解説します。
※例に挙げるのはGalaxy S21 5G(SM-G991X)の日本によく流通する海外モデルのみです。例外があったり、その他ZシリーズやミドルクラスのAシリーズなどとは若干異なる部分がある旨、ご了承ください。
前提知識:型番の見方
例ではS21 5Gを提示しますが、他のモデルでもある程度応用できるように、まずは型番の見方を解説します。
韓国版Galaxy S21はSM-G991Nとなりますが、これを分解していくと
こうなります。以下番号順に解説します。
①:大まかなシリーズ名
例えばSシリーズだとSやG、NoteシリーズだとN、AシリーズだとA、ZシリーズだとF…となります。
なお同じシリーズでも途中でこのアルファベットを変更される場合があるため、古い機種では一部例外があります。(例:Galaxy S22はSM-S901X)
②:そのモデルの性能(位置づけ)
0~9の数字が割り当てられ、大きくなればなるほど高性能・高価格モデルとなる傾向があります。よって、ある程度のスペックを判別することができます。例えば上記のようにS21はフラグシップなので、最も高い9の数字が割り当てられています。
③:世代
古すぎるとこの法則には当てはまりませんが、ある程度の世代を判別することができます。なお例に挙げているモデルの1世代前である韓国版S20 5GはSM-G981Nです。
④:詳細なモデル
同じシリーズや世代でも複数のモデルが存在するので、これを区別するために異なる数字が割り当てられます。
大きいモデルほど数字が大きくなる傾向にあるようなので、例えばS21+ 5Gはここに6の値、S21 Ultra 5Gはここに8の値が割り当てられています。
今年はほとんど5Gモデルのようですが、4Gモデルが存在すれば、同じモデルでもこれより1少ない番号が割り当てられることがあります。
⑤:販売地域
同じモデル・世代でも販売地域によって異なるローカライズがされているので、その地域によって異なる番号やアルファベットが割り当てられます。例えば中華圏(香港や台湾を含む)は0、ヨーロッパはB、アジアはE(モデルによってBの場合もあり)、韓国はNなどです。
このように、それぞれの数字やアルファベットに全て意味があるので、判別の材料となりえます。しかし、同じ型番でも販売国によって対応バンドやCA(キャリアアグリゲーション)、ENDC(E-UTRAN NR デュアルコネクティビティ)などが異なる場合があるので、注意が必要です。
※廉価版を除くフラグシップのGalaxyは、基本的に日本で利用できるLTEバンドには違いがありません(楽天含む大手4社のバンドほぼフル対応)。
韓国版 SM-G991N
韓国版の大きな特徴は
- シャッター音が鳴る
- Exynosモデル(S20シリーズおよびNote20シリーズ、S22シリーズは例外でSnapdragon)
- シングルSIMでeSIMなし(Z Fold4・Z Flip4以降はSIMカード+eSIMのデュアルSIM)
です。
韓国は「カメラ付き携帯電話は65dB以上の音量でシャッター音を鳴らさなければならない」という規制があるので、日本でもシャッター音が鳴動します。
Exynosはサムスン独自のチップセットであり、一部地域でQualcommのSnapdragonに代わり搭載されています。
メリットでもありデメリットでもありますが、韓国版は中古価格が落ちやすいという特徴があります。
価格重視で選ぶ場合は、韓国版の中古も選択肢に入れて良いでしょう。
なおExynosとSnapdragonの比較は以下で詳しくまとめています。
グローバル版 SM-G991B/DS
※シングルSIMモデルも存在しますが、日本で流通している大半がデュアルSIM版(DS)なので、デュアルSIM版前提で解説します。
グローバル版の特徴は
- シャッター音が鳴らない
- Exynosモデル
- 物理デュアルSIMにeSIMつき
- リージョンロックがかかっている場合がある(後述)
です。なお、BではなくF型番も存在しますが、基本的には同じくグローバル向けの型番です。
このモデルはあまり人気のないExynosモデルですが、SIMが2枚挿せる上にeSIMも利用できる(最大デュアルスタンバイ)ので、この点でよく重宝されるモデルになっています。
主に日本で流通するものは欧州版やシンガポール版などですが、前者は欧州以外でモバイルデータ通信が利用できないリージョンロックというものが工場出荷時にはかかっています。
これを解除するには、ヨーロッパで現地のSIMを挿して5分以上の通話をしなければなりません。
ただし「日本ではリージョンロック解除なしで利用できた」という報告がインターネットに散見されるため、国内での利用に限っては必ずロック解除を行う必要があるかは不明です。
有名なECサイトや販売業者では事前に現地で開封して通話を行い、リージョンロックを解除してくれるので、解除の有無について気になる場合は販売元に確認しましょう。
中華圏版 SM-G9910
この型番は香港以外の特別行政区や台湾・中国本土でも共通です。ハードウェアは統一されていますが、ソフトウェアは香港・台湾・中国本土の大きく3つに分けられています。
日本で流通する大半の中華圏ハードウェアは香港版なので、香港版をピックアップして解説します。
香港版の特徴は
- シャッター音が鳴らない
- Snapdragonモデル
- 物理デュアルSIM
です。数少ないSnapdragonモデルが販売される地域、かつ販売業者の流通拠点である場合が多いため、最も日本で流通する海外版の一つになっています。
シャッター音が消せる上SIMカードも2枚挿せるため、特に拘りがなければ、このモデルを選べば良いでしょう。
なおこの型番のモデルはeSIMに非対応となっています。
米国版 SM-G991U(SM-G991U1)
アメリカ版の特徴は
- シャッター音が鳴らない
- Snapdragonモデル
- 原則シングルSIM(一部モデルではeSIMとのデュアル利用が可)
です。
2021年3月現在、世界で唯一ミリ波に対応したGalaxy S21となりますが、日本ではバンドが合わないため利用できません。
米国版でもリージョンロックがかかっていると言われていますが、日本では特に解除せずに利用可能なようです。
しかし、キャリアモデル(U型番)にはSIMロックがかかっている場合があるので、購入する際は販売元に確認する必要があります。また日本だとソフトウェアのアップデートが一切配信されないという報告もあり、注意が必要です。
なおU1型番はサムスン直販モデルで、ソフトウェアアップデートも特に問題なく配信されるようです。
日本においては米アマゾン等で入手できますが、Snapdragonモデルを求めるのであれば、香港版のほうが無難です。
まとめ
今回挙げたモデルを表に整理します。
SIM | eSIM | シャッター音 | SIM ロック | リージョン ロック | CPU(SoC) | |
韓国版(N) | シングル | × | 無条件 鳴動 | × | × | Exynos |
香港版(0) | デュアル | × | 消音可 | × | × | Snapdragon |
欧州版 (B/DS) | デュアル | ○ | 消音可 | × | △ | Exynos |
米国版 (U・U1) | シングル | △ | 消音可 | △ | △ | Snapdragon |
国内版 | シングル | × | 無条件 鳴動 | △ | – | Snapdragon |
注:
- Galaxy Fold、Z Fold2、Z Flip、Z Flip 5Gは物理シングルSIM(一部モデルのB/DS型番はeSIM対応のためデュアルスタンバイが可)
- 欧州・アジア向けB/DS型番はSIM2で物理SIMとeSIMの排他利用
- 初代Galaxy Foldを除くGalaxy Zシリーズは販売国問わず全てSnapdragon搭載
- 韓国版Galaxy S20シリーズおよびNote20シリーズ、S22シリーズではSnapdragon搭載
- 米国版の一部モデルはeSIMでデュアルスタンバイが可能
- 米国版キャリアモデルU型番の一部にSIMロックの可能性有り
- 国内版はGalaxy Z Fold3、Z Flip3 以降SIMロックなし
コメント
最近アメリカ版のS21シリーズが値下げされていましたがこちらの記事を見る限り5Gに対応していないと書いてあるのですが4G通信をすることもできないのでしょうか?
4Gが繋がれば購入を考えているのですが、、、
なは さま
コメントありがとうございます。
僕自身が検証したわけではなく僕の知人からの報告になりますが、アメリカ版SIMフリーのS21 Ultra(SM-G998U1)で楽天SIMにてVoLTE通話・4G通信が可能との情報を伺っております。
ほかモデルと同様の挙動であれば、SoftbankのVoLTEと5G以外は問題なく動作するものと考えられます。
ただ実際に手にして検証していないため、100%保証できるものではないことはご了承ください。