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毎年恒例ですが、フラグシップのGalaxy SシリーズおよびNoteシリーズでは地域によるCPU(チップ)の違いが問題視されています。
ヨーロッパやアジア諸国ではExynosというサムスン自社製のチップを搭載し、中国や日本(2020年の一部ハイエンド機種のみ韓国も)、アメリカなどではQualcomm製のSnapdragonという大手チップメーカーのフラグシップモデルを搭載しています。
「大きな差は生じないようにお互いを調整している」とサムスン公式は発言していますが「やはりチップによる”差”がある」と利用者(特にExynosモデルが毎年発売されるインドやヨーロッパ諸国のユーザー)は嘆いています。
そこで筆者は「本当に差はあるのか?」と疑問に思ったので、S20+のExynos版(ベトナム版4Gモデル)とSnapdragon版(香港版5Gモデル)を買って実際に使ってみました。
ただし、4G版と5G版なうえRAM容量が異なる(8GBと12GB)ので、100%完全比較することはできません。ご了承ください。
※2020年8月時点での検証結果です。現在の最新ソフトウェアや、次世代のチップ同士ではパフォーマンスの差が本記事の結果と異なる場合があります。
チップの違いによる性能差
最も問題視されている問題のひとつである、パフォーマンスの優劣についてです。
ここ数年Snapdragonのほうがベンチマークスコアにおいて優秀だと言われています。Exynosはハズレとも言われたりします。大体1割ほどスコアに差があると言われているようですが、それが本当なのか確かめるべく実機でantutuベンチマークを計測しました。どちらもリフレッシュレート120Hzで解像度はFHD+です。
やはり1割ほどの差があるようです。ただし、MEM性能においてはRAM容量で増減するので、ここで差が生じているのはantutuの仕様だと思われます。Exynosの5GモデルではRAMが12GBなので、このスコアよりもう少し高いスコアが出る可能性があります。
また、上から2項目のCPUとGPUのスコアで単純なSoC(チップ)の性能差を比較することができます。
GPU性能で大きな差は出ていないものの、CPUでは若干の差が生じています。
このように差が出てしまっている理由として、Exynos990は全てのCPUコアがフル稼働していないためであることが考えられます。
根拠として、先代モデルのExynos9820は全てのCPUコアをフル稼働させないためのシステム制御が行われていたことが挙げられます。よって、Exynos990でもこの制御が行われていると考えられます。
ただこの制御が行われていたとしても、ソース記事にも記載がある通り「すべてのCPUコアがフル稼働する」という状況はベンチマーク計測時以外には基本的にありえないため、これによる普段使いでの支障は全くないでしょう。
実際にネットサーフィンや動画鑑賞などでは違いは一切感じません。
ただし、ゲームでは若干パフォーマンスに差が生じているようです。PUBGなどの3Dゲームでは、Exynosモデルだけ20分以上連続プレイを行うと大きくコマ落ちする場面が散見されました。antutuスコアでは差がないものの、長時間使用にはパフォーマンスの差が起きるようでした。
※ただしこの情報は2020年9月のものであり、アップデートによって改善されている可能性があります。
なお発熱については、若干Exynosモデルのほうが熱を持ちやすい様子でした。
性能差においてまとめると「普段使いでは全く気になるものではない」という結論です。どちらもしっかり120Hzの高リフレッシュレートでもコマ落ちはほとんどせず、かなり安定しています。
バッテリー持ちの差
性能差の次に問題視されている「バッテリー持ち」についてです。
実機で同じ条件で使用したところ「Snapdragonモデルのほうが2~3時間ほど駆動時間が長い」という結果になりました。
- 解像度はFHD+で最適化モード
- Twitterのダークモード(黒)でタイムライン監視およびトレンドサーチ
- リフレッシュレートは60Hz/96Hz/120Hzそれぞれで比較
とという条件で検証を行いました。なお香港版は5Gに対応していますが、オフにしてWiFiに接続しています。
Exynos990 | Snapdragon865 | |
120Hz | 4~5min/% | 5~7min/% |
96Hz | 5~7min/% | 7~10min/% |
60Hz | 7~9min/% | 9~12min/% |
バッテリー持ちについてはかなりはっきりと差が出ていることが分かります。明らかにExynosモデルはバッテリー持ちが悪いと感じました。
有機ELなので、黒い画面だと電池持ちも良くなります。黒い画面にしてこの電池持ちなので、Exynosモデルにおいて120Hzで常用すると1日持つかどうかかなり厳しいでしょう。また発熱によってバッテリー消費がSnapdragonモデルよりも増加しているように感じました。
オーディオ関係の比較
実はチップによってオーディオにも差が生じます。
SnapdragonはチップにDACが内蔵されていますが、Exynosは内蔵しておらず、例年ポータブルアンプなどに採用されるCirrus Logic製のDACを外付けで搭載しています。これにより、音質の差が生じると胃言われています。
こちらも実際に聴いて比較しました。イヤホン音質に関しては無線も有線も大きな違いは感じられませんでした。オーディオに詳しい方なら差を感じるかもしれません。ただExynosのほうが若干音圧があるように感じました。
一方スピーカーの音質は素人の筆者でも分かるくらいの差がありました。理由は不明ですが、Exynosのほうが明らかに重厚感があり、非常に聴きごたえのある音であると感じました。一方Snapdragonモデルではどちらかというと軽い音のように感じました。音量も若干Exynosモデルのほうが大きいようです。
音質に関してはやはりExynosに軍配が上がるようです。
モバイルデータ通信の差
モバイルデータのバッテリー持ちもやはりSnapdragonモデルのほうが良い様子でした。
また、これはどちらかというとチップの差ではなく販売地域の差になってしまうのですが、キャリアアグリゲーションにも差があるようです。
au回線においてはベトナム版Exynosはバンド1とバンド41、またはバンド41とバンド41でキャリアアグリゲーションをよく行います。
一方香港版Snapdragonではほとんどキャリアアグリゲーションは行わず、LTEバンド単体を掴むことが多いです。一応バンド1とバンド3でキャリアアグリゲーションを行うようですが、一部の限定的な地域(スポット)のみの提供なので、ほとんどキャリアアグリゲーションすることはありません。
よって通信速度には若干差があるようで、平均通信速度は若干ベトナム版のほうが速いような気がしました。
ただし、大きく差が出ることもあまりないので、一概にどちらが良いとも言えなさそうです。
まとめ
実機で比較してみましたが、メインで使うならSnapdragonモデル、サブで使うならExynosモデルかなという結論に至りました。まあ客観的にどちらが良いか選ぶとすれば、やはりSnapdragonのモデルになってしまうかなという感じです。
どちらにも良い点がありますが、日常的に使用するにあたってバッテリー持ちはかなり優先事項になると思うので、この差は致命的であるように感じます。
結局筆者はSnapdragonモデル(香港版)を手元に残し、Exynosモデル(ベトナム版)は売却しました。ただ、この香港版はBTS Editionなので、限定モデルだから手元に残したという理由のほうが大きいです。
S20+を購入する際は是非参考にしていただければと思います。ちなみに筆者が比較したモデル型番はExynosがSM-G985F、SnapdragonがSM-G9860です。
コメント
いつも拝見しております。s20+ベトナム版を普段使いしていますが、やはりスナドラ版が欲しくなり売却を検討しています。
ただ海外モデルということもあり、日本国内では需要が少なく、貝取価格も抑えめのようでした。。
筆者さんはどちらで売却されましたか?
森さま
コメントありがとうございます。
ベトナム版に関しては、知り合いに安く手渡しで売却しました。その他海外スマホに関しては良くじゃんぱらを利用させていただいてます。あまりフリマサイト等は利用しません。