Snapdragon 8 Gen 3 for GalaxyとExynos 2400を実機で比較

Android

Galaxy Sシリーズは例年、展開される地域によって搭載するプロセッサが異なります。

2024年に発売されたS24およびS24+でも、SnapdragonとExynosの2プロセッサ体制で展開されています。

そこで本記事ではプロセッサによる差を調査すべく、Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxy搭載のS24 UltraとExynos 2400搭載のGalaxy S24+の実機を利用し、比較・検証を行いました

スポンサーリンク

スペック

ここではGalaxy S24 UltraとGalaxy S24+のスペック、およびSnapdragon 8 Gen 3 for GalaxyとExynos 2400のスペックを比較します。

Galaxyのスペック比較

Galaxy S24+Galaxy S24 Ultra
WiFiIEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax
2.4G/5GHz/6GHz
IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax/be
2.4G/5GHz/6GHz
Bluetooth5.35.3
ディスプレイ6.7インチ
Dynamic AMOLED 2X
6.8インチ
Dynamic AMOLED 2X
リフレッシュレート120Hz120Hz
解像度WQHD+ (3120 x 1440)WQHD+ (3120 x 1440)
寸法158.5 x 75.9 x 7.7 mm162.3 x 79.0 x 8.6 mm
重量196g232g
プロセッサSamsung
Exynos 2400
Snapdragon 8 Gen 3
for Galaxy
メモリ12GB12GB
バッテリー容量4,900mAh5,000mAh
リアカメラ①超広角 12MP F2.2
②広角 50MP F1.8
③望遠 10MP F2.4(光学3倍)
①超広角 12MP
②広角 200MP
③望遠 10MP (光学3倍)
④望遠 50MP (光学5倍)
生体認証指紋(画面内)/2D顔認証指紋(画面内)/2D顔認証
出典:Samsung Vietnam 1, 2

2024年月現在、Galaxy S24シリーズは、S24とS24+の2モデルでSnapdragon版とExynos版が混在しています。日本で身近に流通するもので例を挙げると、香港版はSnapdragon版、韓国版はExynos版です。S24やS24+を購入する際は、どの地域に向けて販売されたものか併せて確認しましょう。

検証に利用した端末はベトナム版Galaxy S24+(SM-S926B/DS)と香港版Galaxy S24 Ultra(SM-S9280)です。

なおS24 Ultraはすべての地域でSnapdragonを搭載し、Exynos版は存在しません。

※今回は予算等の都合でS24+とS24 Ultraとの比較になります。小見出しごとにも断りを入れていますが、プロセッサ以外で物理的な差がある点はご了承ください。

プロセッサのスペック比較

Exynos 2400Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxy
CPUコア数10コア8コア
CPU①1x Cortex-X4 @3.21GHz1x Cortex-X4 @3.40GHz
CPU②2x Cortex-A720 @2.90GHz3x Cortex-A720 @3.15GHz
CPU③3x Cortex-A720 @2.59GHz2x Cortex-A720 @2.96GHz
CPU④4x Cortex-A520 @1.96GHz2x Cortex-A520 @2.26GHz
GPUXclipse 940 @1095MHzAdreno 750 @1000MHz
製造プロセス4nm(Samsung 4LPP+)4nm(TSMC N4P)
Device Info HWアプリより

物理的な性能を見てみると、CPU周波数はSnapdragonが高く、GPU周波数はExynosのほうが高く設定されているようです。

一般的に周波数は高ければ高いほど性能も高くなりますが、その分発熱も増大し消費電力が高くなってしまいます。また、最大周波数と実際の性能は必ずしも比例するわけではありません。

Exynos 2400とSnapdragon 8 Gen 3ともに高性能コア(Pコア)は合計6コア搭載しています。一方高効率コア(Eコア)は前者が2コア、後者が4コア搭載しているため、合計コア数はデカコアとオクタコアでそれぞれ異なっています。

製造プロセスはそれぞれ同じ4nmというブランド名を有していますが、製造メーカーが異なるため別物と考えて良いです。

ベンチマーク

ベンチマークアプリを利用して、スコアや発熱などをチェックしました。

AnTuTu V10

AnTuTuベンチマークでは、ストレージの差を抜きにしても約1割弱の差が出ました。特にGPUスコアは10万点ほどの差が出ており、ゲームプレイ時に性能差を感じる可能性があります

また本体温度もS24+のほうが約5℃ほど高い点が印象的です。

ただしS24 Ultraは下位モデルよりも物理的な発熱対策が取られているため、差が出るのは当然ともいえます。プロセッサ自体の発熱程度はあまり変わらないかもしれません。

なお、どちらにしても高負荷時は発熱が気になる印象でした。

Geekbench 5

Geekbench 6

なお、SNSやブラウジングなどの普段使いには差を感じません。

Geekbenchに関してはAnTuTuほどの差が出ることはないようです。

シングルスコアは最大周波数の差なのか、いずれにおいてもS24 Ultraのほうが高いスコアに出る傾向がありました。

一方マルチスコアはGeekbenchのバージョンや環境によって優劣が変わる様子です。

ゲームテスト

実際のゲームアプリでもパフォーマンスのテストを行いました。

今回検証に使用したタイトルは「アイドルマスター シャイニーカラーズ Snog for Prism」です。

メンバー、衣装、グラフィック設定を各テストで統一して星の声MVを再生し、fps等をTakoStatsで計測しました。

ピーク性能

ピーク性能のテスト項目では、画質を最も重い設定にし、MVを1回再生しました。

平均FPSでは、Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxy搭載のS24 Ultraが優れる結果になりました

S24+は時々60fpsまで上昇するものの、基本的には50fps程度で安定する様子です。逆にS24 Ultraは基本的に60fpsで張り付いており、重い場面で50fps前後までコマ落ちするような印象です。

長時間負荷

長時間負荷のテスト項目では、画質を実利用に近いデフォルト設定に戻したうえで、MVを約10回再生しました。

結論から言うと、実際のプレイではS24 Ultraのほうが高いパフォーマンスを維持していました

S24+ではしばらく一定の性能を維持していたものの、計測開始から約10分後にパフォーマンス制限(サーマルスロットリング)とみられるものが発生し、一気にfpsが低下しました。おそらくCPU温度55℃でスロットリングが発生する仕様になっているのではないかと考えられます。

一方S24 Ultraでは、ゆっくりとフレーム落ちの頻度と下げ幅が拡大していく挙動が特徴的です。とはいえ排熱性能の高さもあってか平均fps低下ペースは遅く、結果的にS24+よりも高いfpsを維持していました。

検証時における最大CPU温度はS24+が約55℃、S24 Ultraが約50℃でした。グラフから推測するとS24 Ultraはまだピークに達していない可能性があります。

いずれにしても44℃前後まで本体温度が上昇しているため、ゲームをプレイする際は低温やけどに注意した方がよさそうです。

なおこちらもピーク性能のテストと同様に、アプリ最適化の差、また物理的な排熱性能による差が結果に反映されていると考えられます。

バッテリー持ち

コンテンツ鑑賞やSNS閲覧などをメインに、バッテリー持ちを検証しました。

100%から20%までの利用で、画面ON時間はS24+が14時間31分S24 Ultraは17時間1分となりました。

ただし、S24+側は位置情報をオンにしており、LINEやDiscordといったメッセージアプリもバックグラウンドで余計に動作しています。

バックグラウンドの動作を考慮すると、バッテリー持ちはあまり変わらない可能性があります。

体感はどちらもかなり持つ印象でした。

結論

以上まとめると、下記の通りです。

  • 普段使いであればExynos版のS24やS24+でも支障はない
  • ゲーム性能はSnapdragon版のほうが高い可能性あり
  • そもそもゲーム重視であればS24 Ultraを選んだほうが良い

今回の検証ではゲームなどの高負荷時に有意な差がみられました。しかしこれはプロセッサの性能差だけではなく、物理的な構造による影響も大きいと考えられます。

したがって、ゲーム性能を重視する方は、とりあえずS24 Ultraを選ぶべきでしょう。S24やS24+でプロセッサの差を気にするよりも、すべての地域でSnapdragonを搭載し、かつ排熱性能が優れているS24 Ultraを選ぶほうが確実です。

なお、普段使いにおいてプロセッサの違いを感じることはなさそうです。ゲームをしない使い方では、どちらを選んでも十分に満足できると思います。

またExynos版のS24やS24+、特に韓国版は、Snapdragon版となる香港版や国内版よりも値崩れしやすい傾向があります。安価に入手できる場合、敢えてExynos版を選ぶという手もあるでしょう。

Galaxy S24シリーズを購入する際に参考になれば幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました