MediaTekは、同社で初めてミリ波に対応したミドルクラスSoC「Dimensity 1050」を発表しました。
モバイル通信性能を強化
以下プレスリリースに記載があるスペックの要約です。
名称 | Dimensity 1050 |
CPU | 2x Cortex-A78 @2.5GHz 6x Cortex-A55 @2.0GHz |
GPU | Mali-G610 MC3 @不明 |
メモリ | LDPPR5 |
ストレージ | UFS3.1 |
リフレッシュレート | 最大144Hz(FHD+) |
Wi-Fi | 2.4GHz, 5GHz, 6GHz (Wi-Fi 6E対応) |
モバイル通信 | Sub6(FR1) 3CC @200MHz幅 mmWave(FR2) 4CC @400MHz幅 |
製造プロセス | TSMC 6nm |
CPUに関しては中程度のスペックとなっています。どちらかというと低消費電力重視の組み合わせのため、決して超高性能とは言えませんが、普段使いであれば十分な性能を発揮できるでしょう。高効率コアCortex-A55のクロック周波数は2.0GHzで、その他のDimensityと概ね同等となっています。
本GPUは単コアで見るとハイエンドのMali-G710と同様ですが、G610という名称は6コア以下において使用されます。
一方でモバイル通信はハイエンド並の性能を持ち合わせており、モバイル向けSoCとしても最高峰といえるでしょう。ミリ波対応だけでなく、Sub6のキャリアアグリゲーション性能についてもハイエンド級となっています。なおFDD周波数とTDD周波数のキャリアアグリゲーションについては、最大120MHz幅までとなっています。
競合他社の隙を突いてシェア拡大を狙う
競合他社であるQualcommのSnapdragon Mobile Platformでは、コスト削減で真っ先に削られるものの一つにモバイル通信(モデム性能)があります。そのため5Gでのキャリアアグリゲーションなどといった、高いモバイル通信性能はハイエンドSoCの付加価値のような位置づけとなっています。
MediaTekでは「モバイル通信性能が高いミドルクラスSoC」という競合が少ない市場にDimensity 1050を展開することで、新たな需要の喚起とシェアの拡大を狙っていると考えられます。
ただしいくら高性能なモバイル通信性能を持ち合わせたSoCを搭載しても、実際にその高いモバイル通信性能をどこまでスマートフォンに実装するかはメーカーの判断となります。
アンテナコストは製造においてのボトルネックとなるため、やはり性能は削られがちです。特にミリ波への対応は高い技術が要求され、それに伴いコストが大きく上昇してしまいます。
Dimensity 1050を搭載したスマートフォンは2022年第3四半期以降に発売される予定ですが、このモバイル通信の高さを活かしたミドルクラスの製品のリリースに期待したいところです。
画像:MediaTek
参考
MediaTek、スマートフォンにシームレスな 5G 接続を実現する 初の mmWave チップセットを発表 | MediaTek
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