「高価格端末では他社バンド対応によるコスト増は限定的」メーカーが回答

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総務省のホームページにて、2022年5月24日に「競争ルールの検証に関するWG(第31回)」での資料が公開されました。

この中には「携帯電話の周波数等について」の資料があり、実に興味深い情報が記載されていたので、本サイトにて要約して紹介します。

むしろ特定キャリアに対応するほうがコスト高に繋がる

本審議会の資料2-2「検討の方向性(案)について(携帯端末の対応周波数等について)」で端末メーカーの意見として以下の記述がみられます。

出典:総務省

(特定キャリアにのみ対応した)キャリア専用端末を製造する場合、製造ライン管理コストの増加に繋がる。また、端末の他キャリアへの転用ができないため、コスト負担が増える

総務省 – 検討の方向性(案)について(携帯端末の対応周波数等について) (2022年5月24日閲覧)

つまり特定キャリアのみに対応させた端末を製造する場合、複数のキャリアに向けて供給するよりもコストが増加するようです。

インターネットで「複数のバンドに対応することによる技適などの通過コストが上昇するのではないか」との指摘が散見されましたが、この文章を見る限りは、複数のバンドを対応させて大量生産を行ったほうが、1台あたりのコストを下げることができそうな様子です。

対応バンド追加のコスト高は端末の価格帯による

また上記に続けて以下の記述もされています。

・低価格帯と高価格帯の端末では、周波数の追加に対応するためのコストが異なる。低価格帯は、最小回路構成としているため、アンテナを含め影響が大きい。高価格帯は既に複数周波数に対応した回路を使用することが多く、大きなコスト増加は発生せず影響は少ない

・低中価格帯商品はバンド追加により比例的にコストが増加する一方、高価格帯商品はモジュール部品の活用によりバンド追加によるコスト増加は限定的。高価格帯商品については基本的には全て対応済み。低中価格商品については差異がある。ある程度、企業努力によって幅広くバンド対応は出来ているし、網羅率を上げていくことは可能。

総務省 – 検討の方向性(案)について(携帯端末の対応周波数等について) (2022年5月24日閲覧)

要するに「低価格機種では他社バンド対応のコストが増加するが、高価格機種でのコスト増加は限定的である」ということのようです。

確かに海外版Galaxyでは、SシリーズやZシリーズといったハイエンド機種だとバンド18やバンド19といった日本向けの周波数でもローミング用に対応していたりします。一方でAシリーズのようなミドルクラス以下となると、国内版以外はそれらに一切対応していません。

この意見を提出したメーカーは明らかにされていませんが、基本的にどのメーカーでも同じようなことが言えそうです。

国内版Galaxyの”バンド削り”は合理性に欠ける?

ここで問題となるのは「国内版Galaxy」です。

国内版Galaxyでは、同じ端末名称のものであればauとドコモで”同じハードウェア”として製造し、各キャリアで”別々のソフトウェア”を搭載して、対応バンドを制限(制御)しています

上記の意見が事実だとすれば、対応バンドを絞ることに対して合理性を見出すことができません。「企業努力を怠っている」と言われても仕方ないのではないでしょうか?

従来まで供給するキャリアによって対応バンドを大きく削っていたソニーでさえ、Xperia 1 Ⅳでほとんど対応しています。もう対応バンドを削ったままの上位メーカーはサムスンくらいしかいません。


競争という点でも”バンド削り”は不利であると筆者は考えています。ミドルクラスで無理に対応しろとは言いませんが、次のハイエンドGalaxyでは、是非ソフトウェアによって4Gバンドを削らず、他社バンドにも対応してほしいところです。


参考

総務省|競争ルールの検証に関するWG|競争ルールの検証に関するWG(第31回)

総務省 – 検討の方向性(案)について(携帯端末の対応周波数等について) (2022年5月24日閲覧・PDF資料)

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