みなさんはmineoのプリペイドSIMをご存じですか?
1枚220円(税込)で販売されており、200MBのデータ専用SIM(電話・SMS送信不可)としてインターネットや量販店などで購入することができます。
また通話・SMSが必要なければ、このSIMカードを利用して月額払い(ポストペイド)の契約に、手数料なしでそのまま移行することも可能です。
このプリペイドSIMにはau回線(Aプラン)とドコモ回線(Dプラン)の大きく分けて2種類が販売されていましたが、長らくDプランしか購入できない状態が続いています。
Aプランは販売を終了したのか、一向に入荷される気配がありません。
なぜAプランの取り扱いを停止しているのか、今回はMVNOが抱えている脆弱性について解説します。
au回線はプリペイドSIMでもSMSが受信できた
SIMカードには電話・SMSいずれもできない契約だとしても、電話番号(利用番号)が付与されています。またmineoのような一般的な仮想移動体通信事業者(ライトMVNO)は、自社で任意の利用番号を発行する権限がありません。
ライトMVNOはKDDI・NTTドコモ・ソフトバンクといった移動体通信事業者(MNO)より、あらかじめ利用番号が登録されたSIMカードをそれぞれから調達します。これはプリペイドもポストペイドも同様です。
MVNOは、このMNOから借りたSIMカードを顧客に貸与する形でサービスの提供を行っています。

よって発行元のMNOによってSIMカードの仕様が異なり、AプランのみプリペイドSIMでも原則SMSが受信可能になっていたわけです。
余談ですが、MVNOで解約した際にSIMカードの返却が求められるのはこのためです。
※乗り換え(MNP)用のSIMカードの解説は本題の主旨から外れるため割愛しています。
プリペイドSIMの販売が犯罪を助長していた?
この「プリペイドSIMやデータ専用SIMでSMSが受信できる」という点。何が問題かというと、匿名または偽名で利用が可能なため、犯罪に利用しても足が付きにくいのです。
昨今ではセキュリティ対策として様々なサービスでSMS認証を求められますが、悪用する場合は、この認証を身元が特定されないように突破する必要があります。
契約の敷居が低いMVNOのプリペイドSIM及びデータ専用SIMは、こういったケースにおいて代理で認証コードを受け取る「SMS認証代行」などに悪用されているようです。
SMS認証代行は犯罪です。
刑法第161条の2(電磁的記録不正作出及び供用)に抵触する行為なうえ、反社会的勢力への資金流入に繋がりかねません。
こういった犯罪を助長することになっていたため、mineoはSMSが受信できる仕様になっているAプランのプリペイドSIMの販売を停止しているとみられます。
また以前までSMSありのポストペイド契約でも、一部プランによっては本人確認書類のアップロードが不要でした。
これによって偽名で契約が可能だったため、ポストペイド契約も犯罪に利用されていると考えられます。
なおこの脆弱性はAプラン・Dプラン・Sプランの全てが抱えている問題でした。
今後SIMの規制は厳しくなりそう
あくまで筆者の予想ですが、AプランのプリペイドSIMは仕様が変わらない限り、二度と販売されないと思います。mineoだけではなく、他社も販売しないでしょう。
日経電子版によると、警察はこういった「SMS認証代行」の取り締まりを今後強化していくとのこと。
いずれ政府もSMS利用についての規制を強化すると考えられるので、今後SMSの利用は本人確認が必須となるでしょう。
なおmineoでは2021年11月29日より、SMS付きのデータSIM(シングルタイプ)でも本人確認書類のアップロードが必須になっています。
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