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【5G】ミリ波(mmWave)は必ずしもサブ6(Sub-6GHz)より速いとは限らない

5G

2020年、Qualcommはフラグシップのスマートフォンにとどまらず、ミドルクラス(普及価格帯)でも5Gを利用することができるよう、Snapdragon 480(SD480)やSnapdragon 690(SD690)などを発表しました。

5Gといっても日本では28GHz帯の高周波を利用するmmWave(ミリ波)と6GHz未満のLTEの周波数にほど近いSub-6GHz(サブ6)に分けることができますが、ミリ波に対応しているのは前者のSD480のみであり、後者は対応していません

ではSD690が劣っているのではないか?というと、実はそうでもありません。必ずしも「ミリ波のほうがサブ6より最大通信速度が速い」とは限らないからです。

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周波数が高ければ速いというわけではない

あくまで「広い帯域幅を確保することが出来るので高速通信が行える」ということが高速化・大容量化の最大の要因であり、同じ帯域幅では大きく速度が変わることは基本的にありません。

むしろミリ波は高度化技術がまだ十分に確立されておらず、同帯域幅比ではサブ6の周波数のほうが最大通信速度は速いです。

ここで楽天モバイルが販売しているRakuten BIGのスペック表を確認してみましょう。

楽天モバイルが2021年6月現在、使用している周波数は

  • LTE:1.7GHz帯のBand 3(上下各20MHz幅)
  • サブ6:3.8GHz帯のNR Band n77(100MHz幅)
  • ミリ波:28GHz帯のNR Band n257(4×100MHz幅)

の大きく分けて3種類となります。

LTE Band 3は4×4 MIMO・256QAM適用で下り最大400Mbpsとなっています。

現在楽天モバイルの5GはLTEとの常時接続が必須であり、またそのLTEの速度分速くなるので、楽天モバイルではサブ6とミリ波の最大通信速度それぞれにLTEの速度分400Mbpsを引くとNR単体の速度が推測できます

これにより下りサブ6は1.73Gbpsミリ波は2.40Gbpsと推測することができます。

しかしサブ6は100MHz幅、ミリ波は合計400MHz幅であるため、ミリ波の100MHz幅あたりの速度は4で割って600Mbpsです。

このように、実は同じ帯域幅で比較するとミリ波のほうが遅いのです。

これには理由があり、サブ6ではLTE同様に4×4 MIMO・256QAMを適用できるものの、ミリ波では高度化が2×2 MIMO・64QAMに留まるからです。

Snapdragon 480ではミリ波200MHz幅にしか対応していない

ミリ波では広い帯域幅を100MHz幅ずつ束ねて高速通信を実現します。

日本の各通信事業者4社は400MHz幅ずつ免許が交付されているので、100MHz幅の4搬送波キャリアアグリゲーション(CA)に対応していれば、ミリ波の恩恵を最大限に受けることができます。

しかしSD480では2搬送波のミリ波CAにしか対応しておらず、100MHz幅のサブ6には最大通信速度で劣り、そのうえ周波数もサブ6より圧倒的に高いためエリア確保に不利です。

加えてミリ波を利用できるようにするためには専用のモジュールを追加し、スマートフォン本体のアンテナ設計などに手間とコストをかけなければいけません。

つまりこのシステム・オン・チップを採用したスマートフォンを商品化する際、ミリ波に対応させる利点が現状ほとんどないのです。

そのためSnapdragon 480を採用したとしても、敢えてミリ波に対応させるということは日本では今後もない可能性が高いです。

実際にOPPO A54 5GではSD480採用ですが、ミリ波には対応していません。

LTEの最大通信速度が遅い

Qualcommのスペック表を比較すると、SD480とSD690ではSnapdragon X51 5G Modem-RF System(SDX51)という同じ名称のモデムを採用しています。しかし、スペックはかなり違うようです。

以下必要な箇所だけ抜粋した各チップの通信スペックです。

Snapdragon 480Snapdragon 690
LTE800Mbps1.2Gbps
5G2.5Gbps2.5Gbps
ミリ波対応(200MHz幅まで)非対応

5Gの最大通信速度は同じであり、どちらもLTEの2搬送波とサブ6の1搬送波の組み合わせと考えられます。一方でLTEのみではSD480は2搬送波まで、SD690だと3搬送波のキャリアアグリゲーションまで可能であることが分かります。

このように、両者ともパワーバランスを別方面へ振り分けて棲み分けを行っていることがスペック表から読み取れます。

2021年6月現在ではまだまだ4G LTEが世界の主流であり、またミリ波を商用化している国はアメリカと日本くらいしかないので、更にLTEキャリアアグリゲーションが可能な(通信速度が速い)後者のSD690のほうが汎用性でいえば圧倒的に高いといえます

よって、一概にSD480のほうがミリ波に対応しているから優れている、というわけではないのです。

まとめ

ミリ波=ものすごく速い

というポジティブなイメージだけが独り歩きして根付いており、ミリ波のデメリットを十分に理解していない場合が多いと感じています。

実際に超高速大容量通信は可能ですが、それは単に「高周波であるほど幅広い帯域を確保することが容易」ということが主な理由です。現在は「より広い帯域を確保し超高速通信を行う法整備・技術の普及が追い付いていない」といったことや「周波数が極端に高いため整備が非常に難しい」などといった課題が山積みです。

つまりまだ発展途上であり、現段階では対応を見送ったほうが合理的であるという判断がされる場合が多いのです。

日本でもミリ波はエリアが非常に限定的で、かつ影に隠れるとすぐにサブ6を掴んだり4Gに落ちてしまいます。しかも、転用5Gを含むサブ6エリア内で吹いているケースが大半です。

今ミリ波非対応に機種を選んでも、5Gエリアの広さに大きく支障が出るという事は当分ないでしょうから、新しいスマホ選びはもう一度考え直しても良いかもしれません。

ソース:Snapdraogn 480, Snapdragon 690

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