※2023年11月6日追記 この記事は2021年に検証した内容が記載されているため、現在とは結果が異なる可能性があります。
au 4G LTEの800MHz帯はLTE Band 18とBand 26のいずれかに対応していれば利用できる、という事は多数の記事で取り上げられており、ご存じの方も多いでしょう。
一方でドコモの800MHz帯(LTE Band 19)もBand 26で利用できる、という点はほとんど知れ渡っていないように感じます。
このように「複数のバンドで同じ周波数を利用できるようにする技術」をMFBI(Multi Frequency Band Indicator)といいますが、これらの仕組みを説明しつつご紹介したいと思います。
各バンドの周波数関係を再確認
まず何故同じ周波数を別のバンドで利用できるのか?という疑問について簡単に説明します。
LTE Band 26というのは、日本で商用化しているものでいえばBand 18および19を完全に内包しています。
文字だけでは分かりづらいので、以下簡略化した図です。
単位はMHzですが、黒字がBand 26の周波数の幅、オレンジがBand 18として利用できる周波数の幅、赤がBand 19として利用できる周波数の幅です。Band 18および19は26の周波数の中に完全に収まっていることが分かります。
よって、理論上Band 26はauとドコモの800MHz帯を利用することができるというわけです。
2020年前半からMFBI導入か?
auのように数年以上前からMFBIを導入していたというわけではなく、昨年の2020年、つまりここ最近になってから導入が順次開始されているようです。
Band 18および19のバンドは世界的に見ても日本くらいにしか採用例がなく、非常にマイナーなバンドとなっています。グローバルで対応している機種は各メーカーの最高級機種がせいぜい、といったところです。
一方でBand 26はそれらよりも対応機種が(ほんのちょっとですが)多く、例えばヨーロッパ向けや韓国向けの製品などで前者よりも比較的採用例があります。
このようなことから、訪日外国人向けにMFBIを整備していると考えられます。
実機でMFBIを検証
実際に大阪府内でMFBIが導入されているか検証しました。
この上記2枚は大阪府内のとある住宅街で検証を行った結果です。
こちらの後半2枚は大阪府内のとある郊外にて検証を行った結果です。
まずこれらの画像が示す情報の中で、本記事の話題に必要な用語だけざっくりとした解説を行います。
- PLMN:事業者のネットワーク等を識別するもの。440-10はNTTドコモを指す。
- TAC:基地局が収容されているエリアを特定するIDのこと。GPSがなくても、この値で大まかな位置情報を把握できる。
- BAND:ここでは接続されているLTEバンドを指す。
- Earfcn:特定の周波数(バンド)に特定の番号を割り当てたもの。
- PCI:特定の地域ごとにそれぞれ割り当てられた基地局単位の識別番号。
各地域で接続されているバンドは19と26で異なるものの、それぞれのPCIが(3,4枚目はTACも)同じで、EARFCNも計算するとどちらもほぼ同じ周波数であることが分かります。
つまりそれぞれでバンドは異なるものの、同じ基地局の同じ電波を掴んでいるということが推測されます。
なお、Band 19および26両方に対応していた場合、前者として掴みます。
確実にBand 26で利用できるとは限らないかも
ただし、これらの導入は比較的最近の出来事です。
筆者の生活圏である近畿の住宅街や繁華街は概ね対応していることを確認していますが、全国にある全ての基地局で100%利用できるという確証は得ていません。
また、端末自体がMFBIに対応している必要があります。とはいっても、最近の機種はMFBIに対応していないということはほぼないと思われるので、古い機種でない限りこの点はあまり気にしなくても良いでしょう。
Band 26に対応していればドコモのプラチナバンドを利用できる可能性があるので、知っておくと便利です。
今後ドコモで利用する場合はBand 19のみならず、Band 26の対応有無も確認すると良いかもしれません。
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