日本では多くの周波数を携帯電話向けに割り当てられているため、低い周波数から順にまとめます。
ただバンドをまとめるだけでは他サイトが行っているので、本記事は各事業者の割り当て周波数とどのように利用されているかを他メディアより詳細に記載します。
表の上段は標準化されているバンドの幅、下段は現在割り当てられている事業者ごとの内訳を表しています。
※原則本記事での周波数表記はグローバルでの呼称を優先しています。別途総務省や日本のキャリアの呼称がある場合、括弧書きや注釈を入れて併記しています。
※auの事業者はKDDIおよび沖縄セルラー電話ですが、本記事では便宜上auと表記しています。
1. 700MHz帯 B28/n28
2. 800MHz帯/850MHz帯 B18/B19/B26
3. 900MHz帯 B8
4. 1.5GHz帯 B11/B21
5. 1.8GHz帯(1.7GHz帯) B3/n3
6. 2.1GHz帯(2GHz帯) B1/n1
7. 2.3GHz帯 B40/n40
8. 2.5GHz帯/2.6GHz帯 B41/B38/n41
9. 3.5GHz帯/3.7GHz帯 B42/n77/n78
10. 4.7GHz帯(4.5GHz帯) n79
11. 28GHz帯 n257
12. まとめ
700MHz帯 B28/n28
MHz | 上り | 下り | 3G/4G/5G |
FDD | 703~748 | 758~803 | -/B28/n28 |
帯域幅 | 上り | 下り | 割当事業者 |
3*2 | 715~718 | 770~773 | Rakuten |
10*2 | 718~728 | 773~783 | au |
10*2 | 728~738 | 783~793 | docomo |
10*2 | 738~748 | 793~803 | Softbank |
1GHz未満のいわゆるプラチナバンドと呼ばれる周波数帯です。日本で携帯電話向けの周波数では最も低い帯域であり、屋内に電波が届きやすい貴重な周波数です。
なおソフトバンクの本帯域は歴史的に見るとワイモバイルが所有している周波数となります。
アジア太平洋共通バンドという名称もあり、海外スマホでも対応しているケースが多いです。が、日本では比較的最近使用を始めた周波数であり、後述する800MHz帯や900MHz帯ほどは広範囲をカバーしていないので、4Gではメインの周波数ではありません。
楽天モバイルを除く3社はこの周波数を5Gへ順次転用しており、NR Band n28で運用されています。いずれも5Gではエリア確保においてメインの周波数となる見込みです。
余談ですが、中国大陸向けスマートフォンではB28A/n28Aとスペック表に記載されている場合があります。これはB28/n28は上り703~733MHz、下り758~788MHzの帯域に限るという意味のため、日本では理論上auと楽天モバイルしか700MHz帯の帯域を利用することができません。
800MHz帯/850MHz帯 B18/B19/B26
MHz | 上り | 下り | 3G/4G/5G |
FDD | 814~849 | 859~894 | XXVI/B26/n26 |
815~830 | 860~875 | -/B18/n18 | |
824~849 | 869~894 | V/B5/n5 | |
830~840 | 875~885 | VI/-/- | |
830~845 | 875~890 | XIX/B19/- | |
帯域幅 | 上り | 下り | 割当事業者 |
15*2 | 815~830 | 860~875 | au |
15*2 | 830~845 | 875~890 | docomo |
1GHz未満のいわゆるプラチナバンドと呼ばれる周波数帯です。au・ドコモの主要プラチナバンドとなります。
3Gではかつてauが後半5MHz幅*2の枠をCDMA2000 BC0として運用していましたが、現在は停波済みで、順次4Gを15MHz幅*2に拡張しています。
一方ドコモは前半5MHz幅*2の枠をW-CDMA VI/XIXとして運用しています。4Gは残りの10MHz幅*2で運用していることが多いですが、一部15MHz幅*2で運用しているエリアも存在します。
B18よおびB19は日本独自の周波数ですが、上記の表のとおり、B26はB18とB19を内包しています。
なので、B26かつMFBIに対応している端末ではこれらB18/B19の4Gを利用することができます。
この周波数に対応していないと郊外と屋内では圏外になったり電波が弱くなったりする場所が多くなるため、各2社で利用できるエリアが狭くなる可能性があります。
5Gとして運用する場合はauがn18/n26、ドコモがn5/n26のいずれかとなりますが、4Gの主力バンドであるため、いずれも5G転用は未定です。
900MHz帯 B8
MHz | 上り | 下り | 3G/4G/5G |
FDD | 880~915 | 925~960 | VIII/B8/n8 |
帯域幅 | 上り | 下り | 割当事業者 |
5*2 | 895~900 | 940~945 | (MRC) |
15*2 | 900~915 | 945~960 | Softbank |
MRCは一般財団法人移動無線センターの略です。MCAアドバンスというLTE Band 8互換で利用できる共同利用型の自営無線システムがこの周波数で運用されています。
ソフトバンクでは主要プラチナバンドとして全国で整備されています。これらは基本的に前半5MHz幅*2が3G、残りの10MHz幅*2が4Gで運用されていました。
3G停波後は、前半5MHz幅*2をそのまま4Gに転用しているようです。
世界的にも比較的採用例が多いバンドなので、対応している海外スマホは多いです。ソフトバンクではこのバンドに対応していないと、郊外や屋内で圏外になりやすくなり、利用できるエリアが狭くなる場合があります。
なおこちらも5G転用は未定です。
1.5GHz帯 B11/B21
MHz | 上り | 下り | 3G/4G/5G |
FDD | 1427.9~1447.9 | 1475.9~1495.9 | XI/B11/- |
1447.9~1462.9 | 1485.9~1510.9 | XXI/B21/- | |
1427~1470 | 1475~1518 | -/B74/n74 | |
帯域幅 | 上り | 下り | 割当事業者 |
10*2 | 1427.9~1437.9 | 1475.9~1485.9 | Softbank |
10*2 | 1437.9~1447.9 | 1485.9~1495.9 | au |
15*2 | 1447.9~1462.9 | 1485.9~1510.9 | docomo |
元々3Gより以前の携帯電話で利用されていた日本独自の周波数です。キャリア端末でも一部の機種しか対応していないマイナーバンドですが、4Gでは通信の高速化を担っています。
なお3社ともに利用可能なエリアの広さには影響しません。
こちらの周波数は5Gに転用するとなるとn74のバンドが該当しますが、転用は未定です。
1.8GHz帯(1.7GHz帯) B3/n3
MHz | 上り | 下り | 3G/4G/5G |
FDD | 1710~1785 | 1805~1880 | III/B3/n3 |
1749.9~1784.9 | 1844.9~1879.9 | IX/-/- | |
帯域幅 | 上り | 下り | 割当事業者 |
20*2 | 1710~1730 | 1805~1825 | au |
20*2 | 1730~1750 | 1825~1845 | Rakuten |
15*2 | 1750~1765 | 1845~1860 | Softbank |
20*2 | 1765~1785 | 1860~1880 | docomo (東名阪) |
20*2 | 1765~1785 | 1860~1880 | Rakuten (東名阪以外) |
現在日本の4キャリア全てが採用している周波数帯です。ソフトバンクは歴史的に見るとワイモバイルが所有している周波数となります。
後半の20MHz幅*2は東名阪地域のみドコモ、それ以外の地域は楽天モバイルが4G・5G向けで利用することになっています。
4Gでは世界的に最も採用されているバンドであり、日本のスマートフォンでも最近の機種はほとんど対応しています。
なおソフトバンクではこの周波数を5Gに順次転用しており、NR Bandはn3となります。auは5G SAに限り運用中で、楽天モバイルでも5Gへの転用が決まっています。ドコモは現時点で未定です。
2.1GHz帯(2GHz帯) B1/n1
MHz | 上り | 下り | 3G/4G/5G |
FDD | 1920~1980 | 2110~2170 | I/B1/n1 |
帯域幅 | 上り | 下り | 割当事業者 |
20*2 | 1920~1940 | 2110~2130 | au |
20*2 | 1940~1960 | 2130~2150 | docomo |
20*2 | 1960~1980 | 2150~2170 | Softbank |
上記の各3社は主力の4G周波数として利用しています。ドコモとソフトバンクでは基本的に5MHz幅*2を3G(W-CDMA)に割いているので、4Gは15MHz幅*2であることが多いです。
こちらの周波数帯域も各社5G転用時期は未定ですが、ドコモでは転用の準備が進んでいるとみられます。
2.3GHz帯 B40/n40
MHz | 上下 | 3G/4G/5G |
TDD | 2300~2400 | -/B40/n40 |
帯域幅 | 上下 | 割当事業者 |
40 | 2330~2370 | au |
現在放送事業者がテレビ中継に用いている周波数ですが、ダイナミック周波数共用により同周波数でauも携帯電話向けとして運用します。
基本的には5G SAで運用され、真ん中の20MHz幅のみを使用する場合もあるようです。
2.5GHz帯/2.6GHz帯 B41/B38/n41
MHz | 上下 | 3G/4G/5G |
TDD | 2496~2690 | -/B41/n41 |
2570~2620 | -/B38/n38 | |
帯域幅 | 上下 | 割当事業者 |
30 | 2545~2575 | WCP |
20 | 2575~2595 | (地域BWA) |
50 | 2595~2645 | UQ |
※TD-CDMAは省略
それぞれauおよびソフトバンクはUQコミュニケーションズ(UQ)およびWireless City Planning(WCP)から回線を借りる形でサービスを提供しています。各キャリアでは高速通信を主な目的として利用されています。
地域BWAは市区町村単位でそれぞれの地域の事業者が提供することのできるBWAサービス向けの帯域です。
UQは下側30MHz幅を5Gに順次転用しており、auでも利用が可能です。NR Bandはn41で運用されています。
地域BWAも5Gの商用化が可能で、n38またはn41でサービス提供が可能です。
なおWCPの5G転用時期は未定です。
3.5GHz帯/3.7GHz帯 B42/n77/n78
MHz | 上下 | 3G/4G/5G |
TDD | 3400~3600 | -/B42/- |
3300~3800 | -/-/n78 | |
3300~4200 | -/-/n77 | |
帯域幅 | 上下 | 割当事業者 |
40 | 3400~3440 | Softbank |
80 | 3440~3520 | docomo |
40 | 3520~3560 | au |
40 | 3560~3600 | Softbank |
100 | 3600~3700 | docomo |
100 | 3700~3800 | au |
100 | 3800~3900 | Rakuten |
100 | 3900~4000 | Softbank |
100 | 4000~4100 | au |
この帯域は日本特有の呼称が多いため、別名称を追記します。
- 3400~3480MHz:3.4GHz帯(2018年に割り当てを受けた周波数)
- 3480~3600MHz:3.5GHz帯(2014年に割り当てを受けた周波数)
- 3600~4100MHz:3.7GHz帯(2019年に割り当てを受けた周波数)
と、グローバルではB42およびn78を3.5GHz帯、n77は3.7GHz帯と呼ぶことが一般的ですが、日本では便宜上割り当て時期を基準にした上記の呼称を利用することが多いです。
さらにauでは2019年割り当ての新周波数2枠を区別するため、下側100MHz幅を3.7GHz帯、上側100MHz幅を4.0GHz帯と呼ぶ場合があります。
4GはB42と若干マイナーな周波数帯ですが、5Gのバンド(n78)としては世界で最も多く採用されているバンドです。北米以外の5G対応機種であればほとんど対応しています。一方n77はソフトバンクが世界で初めて商用化したバンドのため、比較的マイナーなバンドです。
この周波数はいずれも高速通信を目的として人が集まる人口密集地にて整備されていますが、4GのB42に関しては、対応していなくてもエリアの広さに影響はありません。
5Gでは基本的に各社メインの周波数のため、対応していなければ高速通信の恩恵を受けることができず、かつ5Gエリアが狭くなる可能性があります(auの4.0GHz帯は3.7GHz帯ほど重要ではありません)。
なお、B42帯域はauが前半20MHz幅または40MHz幅全てで主にn78/n77として運用、ソフトバンクは下側40MHz幅を主にn77として5Gを整備しています。ドコモではB42帯域のうち、上側40MHz幅または80MHz幅すべてをn78に順次転用しています。
※これらの周波数は人工衛星との通信帯域(ダウンリンク)などと重複しており、干渉を避けて整備する必要があります。
4.7GHz帯(4.5GHz帯) n79
MHz | 上下 | 3G/4G/5G |
TDD | 4400~5000 | -/-/n79 |
帯域幅 | 上下 | 事業者 |
100 | 4500~4600 | docomo |
300 | 4600~4900 | (ローカル5G) |
ローカル5Gも地域BWA同様、市区町村単位で地域の事業者が提供できる帯域です。
人工衛星との干渉は考慮しなくて良いので、ドコモでは3.7GHz帯の整備が難しい場所で面的に展開されています。また都心部でも高速通信を目的として3.7GHz帯と共に整備されています。
採用する通信事業者がドコモだけなのもあり、日本で発売されている5G対応端末でも一部n79に対応していないものがあります。
28GHz帯 n257
MHz | 上下 | 3G/4G/5G |
TDD | 26500~29500 | -/-/n257 |
帯域幅 | 上下 | 事業者 |
400 | 27000~27400 | Rakuten |
400 | 27400~27800 | docomo |
400 | 27800~28200 | au |
900 | 28200~29100 | (ローカル5G) |
400 | 29100~29500 | Softbank |
28GHz帯はミリ波と呼ばれ、広い帯域を確保できることから超高速通信が期待される周波数帯となっています。
しかし現状は周波数の特性上エリアが非常に限られており、なおかつスマートフォン側も製造コストが高くつくため、ミリ波を体験できる機会は少ないです。
まとめ
最後に各事業者ごとのバンド・周波数をまとめます。
※各キャリアで利用できる周波数を基に表記しているため、周波数によっては実際に運用する事業者がそのキャリアとは厳密には異なる場合があります。
- 各周波数ごとの早見表
- 各キャリアの4G運用バンド一覧
4G | au | docomo | Softbank | Rakuten |
---|---|---|---|---|
B1 | ◎ | ◎ | ◎ | – |
B3 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
B8 | – | – | ◎ | – |
B11 | ○ | – | ○ | – |
B18(B26) ※1 | ◎ | – | – | (◎) |
B19(B26) ※1 | – | ◎ | – | – |
B21 | – | ○ | – | – |
B28 ※2 | ○ | ○ | ○ | △ |
B41 | ○ | – | ○ | – |
B42 ※2 | ○ | ○ | ○ | – |
※1:基本的にいずれかのバンドに対応していればよい
※2:各キャリア共に5Gへ転用予定のため、順次エリアが縮小する見込み
- 各キャリアの5G運用バンド一覧
5G | au | docomo | Softbank | Rakuten |
---|---|---|---|---|
n1 | △ | ○ | △ | – |
n3 | ○ | – | ○ | △ |
n8 | – | – | △ | – |
n18(n26) | – | – | – | – |
n28 | ◎ | ◎ | ◎ | – |
n40 | △ | – | – | – |
n41 | ○ | – | – | – |
n74 | – | – | – | – |
n77 | ○ | – | ◎ | ◎ |
n78 | ◎ | ◎ | ※ | – |
n79 | – | ◎ | – | – |
n257 | ○ | ○ | ○ | ○ |
※5G SAで利用できる場合がある。
- ◎:基本的に必須の主力バンド
- ○:運用中のためあったほうが良いバンド
- △:今後運用予定のバンド
なお現在の5Gはバンドが対応していても利用できないケースが多いです。5Gを利用したい場合は、キャリア端末の購入をおすすめします。
ミリ波は対応している機種が少ないので、本記事では必須としていません。
B41およびB42に関しては基本的にキャリアアグリゲーション対応が前提なので、バンドだけ対応していても通信速度が速くなるとは限りません。
基本的には◎に対応していれば繋がりやすさと最低限の通信速度は問題ありません。ドコモは4G契約であれば、3Gのバンド(I/VI/XIX)に対応していないと利用できるエリアが理論上やや狭くなります。
以上、携帯電話の周波数まとめでした。
本記事は管理人の備忘録として掲載しているため、必要に応じて都度最新の情報に更新しています。
コメント
お忙しいところ申し訳ありません
auB1+3が公表と現状?で違うと感じます
確認して頂けると幸いです
よろしくお願いします
https://www.au.com/mobile/area/map/specific/
今更ですが上記URLマップが条件付きと
知ったので大変申し訳ございませんでした
撤回(削除)よろしくお願いします