2022年より、国内向け中価格帯スマートフォンで広く採用されているSnapdragon 695 5G。
約2万円のAQUOS wish2から約10万円のarrows Nまで、非常に幅広い機種がこのプロセッサを搭載しています。
それなりに優秀なプロセッサであることは間違いないのですが、決して2年間搭載し続けるようなものではありません。2023年においてはローエンド〜ミドルクラスの性能であり、ハイエンド機種を使用しているユーザーであれば少々モタつきを感じるでしょう。
では、どうしてここまでSnapdragon 695の採用が広がっているのでしょうか?
今回はスマホメーカーが2023年上半期もなおSnapdragon 695を擦り続けている理由について考えてみます。
Snapdragon 6 Gen 1の製造が追いついていない?
Snapdragon 695の後継プロセッサとして、既にSnapdragon 6 Gen 1が発表されています。
これはCPU・GPUともに大幅な性能向上を実現しているにもかかわらず、採用例が非常に限られています。それどころか、先代のSnapdragon 695を搭載する例が増加しています。
ReaMEIZUによると、Snapdragon 6 Gen 1は2022年に量産の問題を抱えていたSnapdragon 8 Gen 1と同じプロセスで製造されている可能性が高いようです。
そのためSnapdragon 6 Gen 1も同様に量産の問題を抱えており、ミドルクラスの需要を満たすほど供給が追い付いていない可能性があります。
当然ながら供給不足の状態では引き続きSnapdragon 695を搭載せざるを得ません。
世界的にみてもSnapdragon 6 Gen 1の採用例が少ないことから、量産に問題を抱えている可能性は十分に考えられるでしょう。
情勢の悪化により現状維持が精一杯

近年世界的に急激なインフレが発生しており、スマートフォンの製造コストが増加しています。加えて日本では円安傾向が続いているため、円価格で安く抑えることは困難な状況に陥っています。
競争が激しく利益率が低いミドルクラスでは特にこの影響を受けやすく、2023年は先代モデルと同じスペック・同じ価格を維持することすら厳しい状況のようです。
たとえばOPPO Reno9 Aは、先代のReno7 Aと同じくSnapdragon 695搭載となりました。さらにAQUOS wish3では価格が抑えられた反面、AQUOS wish2のSnapdragon 695よりも低性能のDimensity 700にプロセッサが変更されています。
(ただしAQUOS wish2のSnapdragon 695は性能がやや抑えられていたため、AQUOS wish3との実際の性能差はそこまで大きくないかもしれません。)
在庫が潤沢にある可能性

近年の情勢悪化は製造コスト高騰だけでなく、買い換え需要の低下も引き起こしています。
半導体の需要予測は非常に難しいのですが、この予測を見誤り、需要に反してSnapdragon 695を大量に製造してしまった可能性があります。
このせいでなかなか次世代プロセッサへ移行ができず、在庫処分とまではいかずとも、2023年も引き続きSnapdragon 695を搭載する羽目になっているのかもしれません。
今はミドルクラスを買うべきでない
以上が相次ぐ採用の理由として考えられる可能性でした。
筆者はメーカーの開発部に所属しているわけではないためあくまで憶測にはなりますが、いずれにしても2023年末まではこの流れが続くと思います。
急激なインフレに加え、買い替え需要の低下もあり、スマートフォンのコストパフォーマンスは悪化の一途を辿っています。
このことから、今ミドルクラスのスマホに買い替えるのは控えたほうが良いと筆者は考えています。
可能な限り10万円以上のフラグシップモデルを、極力出費を抑えたいとしても下限でGoogle Pixel 7aやiPhone SE(第3世代)を選ぶべきだと思います。
画像:Qualcomm
参考
Snapdragon 7 Gen 1と6 Gen 1の製造プロセスは4LPEではなく4LPXの可能性 (reameizu.com)
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