AndroidスマートフォンにSDカードが不要な理由

一般的にAndroidスマートフォンを選ぶメリットのひとつに「SDカードを利用できること」がよく挙げられます。

しかし、それは本当に必要でしょうか？

筆者はそもそもSDカードをスマートフォンやタブレットで利用する必要がないと考えています。

なぜSDカードが不要であると考えているのか、その理由を5つまとめます。

アプリは基本的に入れることができない

SDカードでは、アプリやシステムなどの重要なデータに関して原則ダウンロード・インストールして利用することができません。

Galaxyでは一部アプリでそのような機能が利用できますが、アプリ起動中に読み込む大半のデータは本体の内部ストレージに保存されるため、あまり意味がありません。また後述する転送速度の関係からも実用的ではないと言えます。

SDカードに全てのデータを移すことができると思いきや、いずれにしても大半のデータは内部ストレージに保存されるようです。これはおそらく、後述する速度の問題が関わっていると思われます。

要するに、SDカードをはじめとした外部ストレージは万能ではないということです。

実はSDカードと一括りに言っても容量の差だけではなく、様々な通信規格による差異があります。

そして一般的に流通しているSDカードでは、本体内部ストレージの読み込み速度に劣る場合が多いです。

現在ミドルクラスにも普及しつつあるスマートフォンのストレージ規格UFS3.1の128GBを搭載したGalaxy Tab S8+にサムスンのmicroSD EVO Plus 256GBを挿入して「Cross Platform Disk Test」アプリで書き込み・読み込み速度を計測しました。

テスト5項目のうち、メモリコピー以外の4項目においてSDカードの速度が著しく遅いということが分かります。

当然ながら使用する端末やSDカードによって結果が大きく左右されますが、内部ストレージと全く同じように扱うことは難しいと考えた方が良いでしょう。

またSDカードは規格の複雑さもさることながら、偽物や粗悪品も多く出回っています。

大手家電量販店やメーカー正規店でハズレを引くリスクは少ないですが、Amazonのような誰でも出品できるECサイトといった出処不明の激安品は注意しなければなりません。

極端な例ではありますが、ものによってはすぐにダメになってしまい、保存したデータを取り出せなくなる可能性もあります。

以上のことから、電子機器に詳しくなく、なおかつ自己責任で利用できないユーザーにはオススメできません。

インターネットが普及した昨今では、クラウドサービスが充実しています。AndroidであればGoogleのクラウドサービスが利用できます。無料でも15GB分が利用可能であり、月額250円で100GBも利用できます。

クラウドサービスは高速なインターネットへの接続が必須条件になること、BAN(アカウント利用停止)されるリスクがあること等がデメリットとなりますが、インターネットが普及した現在では主流のデータ保管ツールになりつつあります。

またデータの移行もSDカードを使わずに済む体制が整えられています。

移行先の新しい端末でも同じGoogleアカウントでログインすれば、データの移行はクラウドサービスを使って移行することが可能なのです。

そもそも近年のAndroidスマートフォンは、3万円台のミドルクラスでも128GB以上のストレージを搭載しているモデルが増加しています。

ハイエンドモデルでは256GBも主流になりつつあり、ハードな使い方をしない限りは十分な容量が用意されていると言えるでしょう。

このことから、以前よりもSDカードの出番が減りつつあります。

SDカードの性質やデメリットをある程度理解した上で、明確な理由があれば使用しても良いと思います。

しかし(これはクラウドサービスにも言えることですが)、完全な内部ストレージの拡張アイテムにはなりません。SDカードにおいて多くの一般ユーザーはこの点を勘違いしているので、正しい認識が広く知れ渡って欲しいところです。

またSDカードスロットの廃止が相次ぐことから、徐々にクラウドサービスへ移行したほうが便利かもしれません。

完全に移行できれば、新しい機種を購入する際の選択肢も増えることでしょう。