NTTドコモ、4G周波数の転用5Gを22年春よりサービス開始。今後の展開はどうなる?

5G

以前より4G周波数からの転用5Gについて動きがあったNTTドコモ。

ようやく公式からのアナウンスがあり、2022年春より順次“瞬速ではない5G”の展開を開始することが発表されました。

まずは700MHz帯と3.4GHz・3.5GHz帯から

NTTドコモの報道発表資料によると、700MHz帯(下り783~793MHz)・3.4GHz帯(3440~3480MHz)および3.5GHz帯(3480~3520MHz)から転用を開始するようです。

これらはNRバンドでn28n78に相当し、同社は少なくともこれらのバンドで運用する見込みです。

n78はドコモが以前より高速通信可能な”瞬速5G”として運用している3.7GHz帯と同じバンドであることから、3.4GHz帯・3.5GHz帯の5Gに関しては、比較的多くの既存製品で利用できるようになりそうです。

なおn28は一部の機種しか対応しておらず、Galaxyではソフトウェアアップデートで理論上対応可能な機種はNote20 Ultra以降のハイエンド機(A52 5G、A22 5Gを除く)のみとなっています。

ただしいずれの周波数も、既存の機種でどこまでソフトウェアアップデートによって対応させるかは、ドコモ次第となります。全ての機種で利用できるようになるとは限りません。

700MHz帯での展開は消極的?

700MHz帯や3.4GHz帯は比較的最近取得した周波数のため、これらで転用5Gを行うには国(総務省)へ申請を行う必要があります。

総務省の「NTTドコモに係る特定基地局の開設計画の変更認定」の報道資料を見てみると、700MHz帯では令和4年度末(2023年3月ごろ)で1000局、令和5年度末(2024年3月ごろ)で6200局の予定のようです。また人口カバー率も54.0%としています。

※3.4GHz帯の局数が異常に少ないですが、これは音声STL/TTL/TSLや固定衛星などといった干渉相手が存在するためと考えられます。

出典:総務省(700MHz帯)
出典:総務省(3.4GHz帯)

これは決して多いとは言えない数です。

執筆時点(2022年3月)でのソフトバンクの700MHz帯5G包括免許数約1.1万局と比較しても明らかに少なく、ドコモは他社よりも700MHz帯での5G展開にあまり積極的ではないと捉えることができます。

これは700MHz帯では十分な通信速度が期待できず、現在の”PREMIUM 4G”よりも速度が低下してしまうことが懸念されているためと考えられます。

またn28に対応できない既存の5G製品で利用できるエリアに制限が生じることを極力抑えたい、という意図もあるでしょう。

しかし700MHz帯・3.4GHz帯の局数に反して、2024年度末に5Gの人口カバー率90%を目指すとしています。つまり現在バンド42として4Gで展開している3.5GHz帯を積極的に5Gへ転用するか、もしくは引き続き”瞬速5G”である3.7GHz帯、4.5GHz帯をメインに展開していく可能性が高いです

現在ドコモではLTEバンド42などを用いた”PREMIUM 4G”で、屋外でも下り200~400Mbpsほどを実現しています。このバンド42を停波して5Gに転用したとしても、必要十分な速度が期待できそうです。

ドコモは以前から転用5Gに慎重

auやソフトバンクでは積極的に4G周波数を5Gに転用していますが、ドコモでは長らく転用を見合わせていました。

5Gを高速通信として訴求したいという同社の方針もあり、同社は転用に対して慎重になっている様子です。高速通信が困難である700MHz帯で慎重になっている点も、この方針を考慮すると納得できます。

またドコモは通信事業者(MNO)の中で最も周波数を多く活用しており、なおかつ契約者数も最も多いです。そのため他社と比較して転用を行う余裕がなかった、という側面もあると考えられます。

5Gサービスインから2年が経過し、5G契約にある程度顧客を移行させた今、ようやく転用の余地が生まれたのではないかと推測できます。

なお2020年度第2四半期の決算説明会によると、同社は転用5Gを行わないとは一度も言っておらず、当初から転用を行う計画だったとのことです。

バンド42帯域は5Gに転用する価値あり

LTEバンド42は対応している機種が世界的に見るとあまり多くありません。なおかつドコモではキャリアアグリゲーションに対応してなければ、同バンドを使用することはできません。

つまりミドルクラス以下または3年以上型落ちの機種では、多少の通信速度低下はあれど、今から停波してもそこまで大きな影響はないのではないかと考えられます。

さらに転用すればn78という世界で最も採用されているバンドで運用することができます。

n78に対応している機種は今後も更に増えていく見込みであり、バンド42の帯域は5Gに転用したほうが「周波数を有効活用している」と言えるでしょう

今後の5Gエリア拡大に期待です。


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画像:NTTドコモ

参考

PREMIUM 4G | 通信・エリア | NTTドコモ (docomo.ne.jp)

報道発表資料 : 5Gサービスのエリア展開を加速 | お知らせ | NTTドコモ (docomo.ne.jp)

総務省|報道資料|株式会社NTTドコモに係る特定基地局の開設計画の変更認定 (soumu.go.jp)

ドコモの「LTE→5G転用」は2021年度後半から 決算説明会で吉澤社長 – ITmedia Mobile

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