バルミューダは先日2021年12月期の決算発表を行いました。
この決算短信ですが、携帯電話関連において興味深いお金の動きが見られました。
今回はバルミューダの決算から「なぜ日本ではキャリア専売のスマートフォンメーカーが多いのか?」ということについて考察してみます。
携帯端末関連の売上高は約28.5億円も、内訳は…
バルミューダの2021年12月期決算において、BALMUDA Phoneをはじめとした携帯端末関連事業は28億4700万円の売上高でした。
正規代理店を通じた韓国の家電売り上げが33億1700万円であることから、かなり大きい規模であると言えるでしょう。
しかし、このうち27億6300万円がソフトバンクを通じた売り上げのようです。携帯端末関連事業の約97%を占めていることから、かなりソフトバンクでの販売に依存しています。
自力での販売はハイリスクローリターン
残りの約3%はバルミューダ自社でのSIMフリー(オープン市場向け)の販売と考えられます。単純計算で8400万円と自社の販売だけでは1億円にも満たない売り上げとなっており、いかに販売チャネルの選定が重要であるかがうかがえます。
なぜこのような状況となっているのか、まず日本におけるモバイル通信の契約のシェアを見てみます。
総務省が公開している「移動系通信の契約数における事業者別シェアの推移」のグラフによると、大手3キャリアMNOのシェア率は2021年9月末で84.8%でした。
この数値だけでは断定はできませんが、SIMのみの契約が少ないと考えられるUQモバイル・沖縄セルラー電話・ワイモバイルを含めたau・ドコモ・ソフトバンクの大手3キャリアのシェア率は、合計で9割弱になるでしょう。
つまり格安SIM(MVNO)向けにスマートフォンを販売するとなれば、単純計算で市場規模が10分の1となります。どんなにマーケティングを頑張っても、いわゆるSIMフリー市場だけでは大きな売り上げが見込めません。
また大手3キャリアでは、携帯電話の抱き合わせ販売が契約の大半を占めています。格安SIMよりも高い割合で携帯電話を販売しているということは、シェア率以上に市場規模の差があると考えるのが自然です。
なお大手3キャリアがスマートフォンを取り扱う際は一定の在庫を買い取ってくれる、という可能性も十分に考えられますが、これを差し置いてもなお「スマートフォンの販売においてはキャリアで取り扱ってもらうことが最も合理的」と言えるでしょう。
日本でスマートフォン販売の業績を上げるにあたっては「いかにして大手3キャリアで取り扱ってもらうか」が重要であると言っても過言ではありません。
比較的最近日本に進出したOPPOやXiaomiがこぞってキャリア専売機種を販売するのも、こういった理由なのではないでしょうか。
画像:BALMUDA
株主の皆様へ|バルミューダ株式会社 (balmuda.com)
総務省|報道資料|電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 (令和3年度第2四半期(9月末)) (soumu.go.jp)
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