読者の皆様はどこのキャリアを利用していますか?
近年では新規参入した楽天モバイルや格安SIMといった事業者もある程度浸透しつつありますが、まだ9割くらいの方はau・ドコモ・ソフトバンクのいずれかで契約されていると言われています。
筆者は諸事情で格安SIM含めて4キャリアの契約を常に最低限所持していますが、メイン回線はもっぱらauでした。
しかし、試しにそのメイン回線をドコモの無制限プランに乗り換えてみたので、今回はレビューとともに両キャリアのメリットデメリットについて考えていこうと思います。
au:5Gのエリアが狭い
auを去年から5G契約で使っていましたが、5Gエリアが本当に狭いです…。サービスを開始してすぐであれば狭いのは十分理解できるのですが、サービス開始から1年以上経っても5Gエリアがほとんど変わっていません。
既存の周波数(特に広いエリア展開ができるであろう700MHz帯)の転用を始めているにも関わらず、全く整備が進んでいないと言っても過言ではないくらいです。
関西では2021年6月現在、転用を含めても大阪はJR環状線沿線付近でしか「面」といえるほどのエリア展開が行われていません。秋以降の予定エリアはそれなりに広いですが、あくまで予定なのでまだ5Gではありません。しかも場所によっては半年以上予定エリアのままになっているところもあります。浪速区付近がそうです。
一方で同じく既存の4G周波数を5Gに転用しているSoftbankでは、既にそれなりのエリアで5Gを展開しています。一足先に転用を開始したとはいえ、これほど展開スピードの差をつけられてKDDIと沖縄セルラー電話は焦っていないのでしょうか?甚だ疑問です。
そして極めつけは既存の4G周波数を一切転用していないドコモにさえ5Gエリアの広さで負けています。2021年6月現在、ソフトバンクでも転用5Gは比較的地方でも展開を進めていますが、auは地方の中心駅など一部地域のみの限定されたエリアでしか展開されていません。エリアの広さでいえば、3キャリアの中で大きく差をつけて最下位です。
au:無制限という言葉について考えさせられた
またauでの5G無制限プランである(旧)データMAX 5Gや(新)使い放題MAX 5Gでは、かつての制限より緩和されたものの速度制限が設けられています。
筆者が調査して得られた具体的な結果は以下です。
- 3日間で25GB以上使用した場合
- 12:00~13:00と18:00~翌2:00の間で
- 3日間のデータ通信量合計が25GBを下回るまで
- 上下最大通信速度約1.5Mbpsの速度制限をかけ続ける
- 特定のコンテンツサービスで上下最大通信速度約5.5Mbpsの速度制限をかける
結構制限が厳しい結果となっていました。現在は条件が変わっているかもしれませんが、1.5Mbps制限はともかく、コンテンツサービスでの速度制限はさすがに厳しすぎではないかと感じています。
5.5Mbpsという速度は具体的に言うと「1080p30FPS再生がギリギリ詰まらずにできるかどうか」というくらいです。つまり、4Kどころか1080pの60FPS再生すら途中で詰まってしまいます。
外でYouTubeを見ようと思っても、いくら5Gの高速エリア内だとしても、画質を下げないと動画は途中で止まってしまいます。

一方でドコモは3日で25GB以上使用しても、今のところ一切制限のようなものはありません。
もちろん無制限であるということが良いというわけではなく、限りある資源のインフラである以上、ある程度の制限はむしろ必要だと考えています。
しかし高画質動画を再生できない以上、5Gのメリットである高速通信の恩恵を台無しにしていると言っても過言ではありません。
そんなわけで誠意を感じられないauを見限って、今まで契約したことがないうえ、高速通信を謳っているドコモに乗り換えてみたというわけです。
※これらはあくまで筆者が実際に検証および調査した結果であるため、今後変わる可能性もあるということと、公式発表されたものではない点はご留意ください。
ドコモ:5Gは思ったより速くない
auは関西ではJR環状線沿線など、非常に混雑しやすい場所以外はキャリアアグリゲーションをあまりしません。必要最低限かつ合理的な整備を行っているとも捉えられますが、キャリアアグリゲーションをしなければその分だけ理論値の最大通信速度は遅くなります。
多くの場所でドコモは下り1Gbps以上、auでは下り300Mbps未満と3倍以上の差がついている、なんてこともザラにあります。4Gでは実際の速度も大体2~3倍前後の差がついています。
しかし、5Gとなるとまた変わってきます。エリアの広さはもちろんドコモに軍配が上がるのですが、auは5Gに繋がれば非常に速く、屋外でも実際の速度で下り1Gbps以上出るということもザラにありました。そして通信品質も安定しており非常に高いです。
一方でドコモは速くても600~800Mbpsくらいで、一部の屋内やスポット的にカバーしている場所でしか下り1Gbpsはまず超えません。また所謂「パケ詰まり」という事象が起こっており、5月から報告が目立ち5Gエリア内での通信エラーが頻発しています。
ただしこれらは6月末で解消するようです。
個人的には、5Gの速度および安定性などの質に関してはauに軍配が上がるという評価です。
ドコモ:ユーザーが多い分混みやすい
またドコモはauと比べて混雑の影響を受けやすい傾向にあります。
基地局を見る限りは相当対策をしているようですが、人口が密集している都心の駅やイベント会場では、アクティブユーザーが多いとトラフィックを捌き切れず、下り10Mbpsを切ることもあるようです。
ドコモは格安SIMを含め最も契約者が多いキャリアなので、そういった事情もあるかと思われます。
auもある程度は混雑するものの、ドコモほどの著しい速度低下は起きません。厳しい通信制限のおかげでしょうか?
まとめ
ドコモのメリット・デメリット
- 5Gエリアが転用していないのに広い
- 地方格差があまりなく全国で安定して通信速度が速い
- 現状速度制限がなく完全な無制限である
- 5Gの通信品質は微妙(今後改善される予定)
- 都心では混雑しやすい
- 弱電界での通信速度の低下がauよりも著しい
auのメリット・デメリット
- ドコモより混雑しにくい(全く混雑しないわけではない)
- 5Gは繋がれば速く4G含めて通信品質が高い
- 最近の取り扱う機種はキャリアのロゴや余計なアプリがほとんどない
- 5Gエリアが2021年6月時点で狭すぎる
- 無制限なのに厳しい速度制限がある
- テザリング容量に上限(使い放題MAX 5Gでは30GB)がある
実際にドコモを使ってみて、やはりどこのキャリアが一番良いということはなく、キャリアによって良いところと悪いところが両方あるということを改めて感じさせられました。
もちろん特定の地域や場所によって、どこのキャリアが強い・弱いということは少なからずあるので、人によってそれぞれ最適なキャリアというものは存在するでしょう。ただそれを差し置いても、どちらのキャリアも一長一短であることを実感しました。
筆者は5Gギガホプレミアで契約していますが、5Gの通信品質の悪さ以外は大きな不満がありません。どちらかというとドコモで買ったGalaxyの消せないキャリアアプリが鬱陶しすぎてパケ詰まりの問題とかどうでもよくいいえなんでもありません。
あと料金に関してですが、単身であったり身内にドコモ契約者がいなければ割引が効かず、値段が高くなってしまうので注意が必要です。ただし筆者はドコモに定価の月額7000円強を払う価値は十分あると考えています。
一方でauは割引が比較的多く用意されており安く契約できる可能性が高いため、そこがメリットとなる場合もあるでしょう。
なお今後ソフトバンク回線も機会があれば本家で契約したいと思っているので、その際は今回のように使用感などのレポートを報告したいと思います。
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